病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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デジタル法案が衆議院にて可決! 脱はんこ・個人情報保護など病院への影響は

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こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

管理人の白狐(しろぎつね)です。

 

2021年4月6日、デジタル庁の創設や脱はんこ、個人情報保護法の一本化などを盛り込んだデジタル法案が衆議院にて可決されました。コロナ禍がいまだ収まる気配を見せない中で、病院は悪化した経営を回復させるため慌ただしいですが、今回の法案は無視できないインパクト大のものと思われます。

 

本記事では、このデジタル法案が及ぼす影響について考えます。

 

 

デジタル化推進へ向けて一挙に法整備が進む

 

www.nikkei.com

 

4月3日に可決された法案は、国としてデジタル化を推進するための法改正がふんだんに盛り込まれています。一般消費者としては、「役所に提出する書類が押印なしで済むんだったら楽だよね」程度にしか受け止められないでしょうが、さまざまな法令の制約を受ける病院ではその影響は無視できません。

 

デジタル庁の創設はさておき、ここでは病院に直接関係する法案となる「デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案」について見ていきます。

 

▼本法案の概要資料が首相官邸ホームページに掲載されています。原資料を見たい方は併せてチェックしてみてください。

 

https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kyouikusaisei/jikkoukaigi_wg/digital_tf/dai4/sankou4.pdf

 

 

個人情報保護法の1本化

以前当ブログの記事でも取り上げた、個人情報保護法の2000個問題自治体ごとにバラバラの独立した個人情報関連の法律が存在する問題)にテコ入れし、法律を1本化するとのこと。

 

個人情報保護法の2000個問題ってなに?という方は、当ブログでも取り上げましたのでこちらの記事をご覧ください。

whitefox21.hatenablog.com

 

 

個人情報保護法行政機関個人情報保護法独立行政法人個人情報保護法の3本の法律を1本の法律に統合するとともに、地方公共団体の個人情報保護制度についても統合後の法律において全国的な共通ルールを規定し、全体の所管を個人情報保護委員会に一元化。

 

(概要資料より抜粋)

 

これにより、国立・公立・私立ごとに異なっていたルールを共通化し、国の個人情報保護委員会でまとめて所管するというものです。上記で紹介した当ブログ記事でも書きましたが、個人情報関連の法律が入り乱れているために、現状では病院間でも個人情報の取り扱いに慎重にならざるを得ないケースがあります。

 

バラバラな法律が集約され所管が1本化されることで、病院同士の医療情報の受け渡しがスムーズになることが期待されます。

 

マイナンバーを活用した行政手続きの効率化

医療分野におけるマイナンバーカードの利用については、「オンライン資格確認」(健康保険証代わりにマイナンバーカードが使える制度)がトラブル続出のため本格運用が延期になったことが記憶に新しいですね。

そのほかにも、今回の法案には次のような内容が含まれています。

 

国家資格に関する事務等におけるマイナンバーの利用及び情報連携を可能とする。

 

(概要資料より抜粋)

 

「国家資格」というのは、まさに資格集団である病院に直結してくるでしょう。具体的には、医師、看護師、放射線技師、などなどさまざまな国家資格の行政手続きにおいてマイナンバーが利用されるということになります。多くの人が持っているであろう、運転免許証についても同様ですね。

 

現状では、管理人のような普通のサラリーマンがマイナンバーを日常的に使うケースは少ないです。源泉徴収のために職場へ一度マイナンバーを伝えたくらいでしょうか。病院の事務が税務関係でマイナンバーを使うことはあっても、いち職員がマイナンバーを持ち出して使うシーンはほとんどありません。しかし行政のシステム上は、マイナンバーをもとにさまざまな情報を一元管理できる素地が整うことになります。

 

押印・書面の交付等を求める手続の見直し

そして最もインパクトがあるのがこの改正。

 

○ 押印を求める各種手続についてその押印を不要とするとともに、書面の交付等を求める手続について電磁的方法により行うことを可能とする。

 

(概要資料より抜粋)

 

サラッと書いていますが、はんこによる押印を廃止するうえ、書面でなく電磁的方法(平たく言うとデータの送受信)も可能にするというものです。

PCやスマホを手足のように使える人にとっては朗報ですが、スマホの操作すらおぼつかない人にとっては小難しい話になるので、置き去りにしないよう、対応の仕方には注意が必要です。

 

病院内SEとして最も気がかりなのは、処方箋の記名押印電子カルテが導入されているところでは処方箋を紙出力し、医師の捺印をすることで処方箋としての効力を持たせています。これは、医師法施行規則により署名または記名押印が義務付けられているからです。

 

▼脱はんこによる病院への影響を、処方箋の話も含めて取り上げています。併せてご覧ください。

whitefox21.hatenablog.com

 

今回の改正には、どうやら医師法は含まれていないようです。新旧対応表を見てみます。

 

デジタル社会の形成を図るための関係法律の整備に関する法律案 新旧対照表

 

https://www.ppc.go.jp/files/pdf/seibihouan_sinkyuutaisyouhyou.pdf

 

 

民法や戸籍法などさまざまな法律が列挙されており、「印をおさなければならない」という表記が削除されています。ところが医師法は登場しません。つまり、従前の条文は維持されるということでしょう。

 

押印は、「本人が認めたことを記す」ことと「本人であることを証明する」ことの2つの意味を持ちます。実印が必要になる書類(不動産登記など)については今回の改正に含まれず、引き続き押印が求められるようですが、それは本人である証明をする必要があるからですね。

 

病院の処方箋で押印を廃止すると容易にコピーできてしまい、本当に医師が発行したものなのかを証明することが難しくなります

「印鑑なんて100均で簡単に買えるから押しても意味がない」と思うかもしれませんが、同じ「佐藤」の印鑑でもその字体や形状はさまざまです。ごまんとある同じ病院の処方箋を毎日見ている薬局のスタッフは、印鑑が違うとふと違和感を覚え、目にとまるものです。実際、処方箋を偽造した犯罪が薬局によって見破られ、犯人逮捕に至っている事例が多々あります。

 

こうした問題は電子署名システムが解決してくれるのですが、電子カルテにその技術が組み込まれるのはこれまた影響度の高い話で、まだ先の話になるでしょう。なにせ病院と薬局が同時に電子署名システムに対応しなければ実現できないのですから、時間も費用もかかります。政府には電子処方箋の構想がありますが、遅々として進んでいないのが現状です。

 

電子署名システムってなに?という方は、こちらの記事で取り上げていますのでぜひご覧ください。

whitefox21.hatenablog.com

 

いっぽう、書面の交付義務がなくなり、電磁的方法も認められるのは有り難いことですね。今は何かと書面の交付が必須で、これだけスマホが普及しても、行政手続きは何をするにも紙です。住民票を受け取るためにわざわざ有給を取るなんてこともザラにあります。例えばスマホアプリで役所に申請して郵送で受け取れる・・・といったことができれば便利ですよね。

 

 

以上、デジタル法案が病院に及ぼす影響について考えてみました。

 

個人情報保護法の1本化や脱はんこに関してはまだ先になるかと思っていましたが、コロナ禍に負けず国は法改正を推し進めています。法が変わり官公庁が変われば、それは法的に問題ないということですから、必然的に民間もあっという間に追随するでしょう。

慣習的に押印しているものは直ちに廃止しても問題ないでしょうが、そうでないものについては代替案とセットで考えることが必須です。病院内SEとしては引き続き国の動向を注視するとともに、法改正に対応する製品の調査もしておきたいと思います。

 

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