病院のSEとして10年以上働いている@whitefox21seです。
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システムエンジニアの職種の一つに、医療系SEがあります。
SEと一口に言っても、インフラ系、開発系、Web系、などいろんな系統がありますよね。
転職を考えるとき、違う系統のSEをやってみたいと誰もが考えます。
ところがこの医療系SE。
従事者が少ないためか、ネットで情報を探してもなかなか情報が出てきません。
「実際どうなのよ?」と思っても、知るすべがないのです。
私はシステムエンジニアとして10年以上病院で働いていますので、現場の生の声をお伝えすることができます。
そこで今回は、
「今の仕事がきついから、医療系SEに転職してみたい」
「それどころか、システムエンジニア自体を引退して違う仕事をやってみたい」
こんな悩みにお答えする内容をお届けします。
こちらのまとめページでそれらをご覧いただけます。
院内SEの仕事に興味を持った方には、読んで損のない記事のはず。
院内SEは、転職を考えているSEにとって一つの選択肢になりうると考えていますので、ぜひ一度チェックしてみてくださいね!
- 医療系SEとはこんな仕事
- 医療系SEがきついと言われる理由
- 法令の制約を強く受ける
- 場合によっては医療情報技師の資格が必要
- いざというときには休みなしで対応
- SEの引退は待て。「院内SE」を知ってからでも遅くない!
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医療系SEとはこんな仕事
まず医療系SEとは、「医療向けシステムを開発・保守するシステムエンジニア」を指します。
医療向けシステムには、代表的なものに電子カルテシステム、医事システム(患者の会計を計算するソフト)、PACS(パックス。レントゲンやCT画像を管理するソフト)などがあります。
病院で診察を受けるとき、医師がパソコンに打ち込み作業をしたり、モニターでレントゲン画像を映し出したりしますよね。そのシステムのことです。
開発・保守する仕事ですので、当然ながら要件定義やプログラミングなどシステム開発の知識が求められます。
作るモノが医療分野に特化しているだけで、 実は他分野のシステム開発と大きく業務内容が異なることはありません。
病院の現場を知り、安定した病院経営に寄与するシステムを提案する仕事です。
医療系SEがきついと言われる理由
ところが、よく「医療系SEはきつい」と言われます。
私はあくまで院内SEの立場であり、医療系SEではないですが、当院のシステムを納めているベンダーは医療系SEに当たり、日々接しているのでどんな仕事かは分かります。
個人的な主観で「きつい」「きつくない」を訴えても伝わらないでしょうから、ここでは他のSEと比べてどんな特徴があるのかを説明し、どう感じるかは読者の方に委ねたいと思います。
医療系SEと院内SEって何が違うの?
よく分からないですよね。これから説明します。
医療系SEと院内SEは別物!
私のように病院の職員として勤務し、電子カルテシステムを保守する仕事は一般的に院内SEと呼び、ベンダーに勤務する医療系SEとは仕事内容や年収などがまったく異なりますので区別してください。
システムを開発する上で、顧客先の業務知識が欠かせないのはどのSEにとっても同じですが、医療業界に関しては独特なものがあり、高い理解が求められます。
その内容はざっと下記のとおりです。
法令の制約を強く受ける
病院は、さまざまな法令のもとで運営されています。
もちろん一般企業も法令遵守が当然ですが、労務管理や個人情報保護といった「コンプライアンス」レベルではなく、守っていないと減収や収益の返納といったペナルティのほか、下手すれば新聞沙汰の事件にすらなります。
例を挙げます。
- 診療録の記載内容や処方箋の発行に関しては医師法
- 調剤に関しては薬剤師法
- 放射線の照射に関しては診療放射線技師法
- 患者数の帳簿記録等を定めた医療法
・・・などなど、関係法令を挙げればキリがありません。
「法」とついているものばかりですね。
これらを守らなかった場合、違法となり罰を受けることになります。
一般企業と同じように労務管理や個人情報保護関係は当然守らなくてはなりません。
これらに加え、法令によってがんじがらめなのです。
医療従事者はもちろん自分の仕事に関係する法令を知っていますし、法令遵守を前提で物事を考えますので、SEも相応の知識がなければ仕様の検討ができないのです。
システム面での一例を挙げますと、厚生労働省による「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」において、電子カルテに求められる「3原則」があります。
- 真正性(改変がなく真に正しい状態であること)
- 見読性(常に見て読める状態にしておくこと)
- 保存性(復元可能な状態で保存されていること)
の3つなのですが、これらが守られていることが義務となっています。
カルテが不正に改変されていないことを証明するために、いつ誰がどんな記録を加えたのかを履歴管理しなければなりませんし、サーバのバックアップを取るのも「万が一のため」ではなく「義務」になります。
多くの場合、業務系システムというものは業務を効率化したり利便性を上げたりするために利用されます。
もちろん電子カルテシステムにおいても目指すところは同じですが、こうした法令やガイドラインを守れていることが前提となります。
病院が導入するシステムにはさまざまな制約を守ることが条件であり、そのうえで効率化や利便性向上を図らなければならないところがあります。
場合によっては医療情報技師の資格が必要
もちろん、上に挙げた関係法令をすべて熟知する必要はありません。
システム開発に必要な部分だけを知っていればよいわけです。
医療従事者と対等な話し合いができるようにするため、医療と情報処理の双方に長けた人材を育成することを目的として作られた資格として、「医療情報技師」という民間資格があります。
ベンダーによっては、この資格を取れ、と求められるかもしれません。
管理人が普段お付き合いしているベンダーの社員にも、この医療情報技師の保有者がいます。初めてお会いする方でも、名刺に記載があれば「話が分かる人だな」と判断していますね。
医療系SEで長く働いている方は、経験で知識を補えていることもあるでしょう。
新卒でベンダーに入社する場合は、医療知識の取得のために「まずは医療情報技師を取ってね」と言われるかもしれません。
基本情報技術者を取るなら、おすすめするのがオンライン講座スタディング。スマホを使って、スキマ時間にテキストを読んだり問題集を解いたりできます。分厚くて重たいテキストを持ち歩くよりも、はるかに効率よく学習を進められます。
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いざというときには休みなしで対応
電子カルテシステムは医師の指示や記録を記すもので診療行為に不可欠ですから、24時間365日の常時稼働が絶対です。
電子カルテが使えないということは、すなわち診療が止まることを意味します。
もちろん、そうした事態に備えて紙カルテの運用など非常事態の措置を取りますが、並行して一刻も早い電子カルテの復旧を試みることになります。
そうなれば、ベンダー総出で復旧作業に当たることになります。
電子カルテが止まる原因には、2018年に起きた北海道の全域停電(ブラックアウト)のような災害レベルのものから、誰かがLANケーブルを間違えて指してネットワークが機能不全に陥ったなど、人災的なものまでさまざま。
私のような院内SEが常駐する医療機関なら応急措置も取れますが、そうでない場合はベンダーに連絡が行きます。
システム停止は診療に関わる重大な障害ですので、迅速な対応が求められます。
そのため、夜間・休日でも問い合わせ窓口を設けているベンダーもあります。
当然、電話が来れば休みであっても対応が求められますので、そこがきついと言われる最大の理由かもしれません。
以上が、医療系SEの仕事内容です。
おおまかに掴めたでしょうか。
医療系システムを開発するベンダーで働くと、「医療情報技師」という資格を取れと言われる可能性が高いです。なぜなら病院情報システムに携わるには医療分野の知識が必要になるため、この資格を取ることで病院職員と対等に話せるようになるからです。
大手転職サイトで医療情報技師の求人を検索すると、大量の求人が見つかります。医療系SEの採用条件を知りたい方は、こちらの記事をぜひご覧ください。
SEの引退は待て。「院内SE」を知ってからでも遅くない!
ここまで読んだ方は、どう思われたでしょうか。
「医療系SEもきついことに変わりはない。転職はやめておこう」
「システムエンジニアは結局、どれも同じ穴のムジナ。引退して違う仕事にするか」
もしそう思ったなら、待ってください。
システムエンジニアの強みを活かせる仕事として、院内SEの道があります。
せっかくSEとして技術を培ってきたのに、活かさないのはもったいないことです。
インフラ系SEから医療系SEに変わっても劇的変化はないかもしれませんが、院内SEに変わると良くも悪くも劇的に変わります。
詳しくは下記の記事に譲りますが、「一定の条件が飲めるなら」、院内SEはシステムエンジニアの強みを活かした事務職としておすすめできます。
「えっ! 院内SEって事務職なの?」
「劇的って言うけど、どんなふうに?」
そう思ったら、ぜひこちらの記事を読んでみてください。
実は院内SE、システムエンジニアにほとんど知られていない存在です。
希少種であるためネットの情報が少なく、求人を探してもなかなか出てこないため、「本当にそんな仕事があるのか?」と思う方もいるでしょう。
それには理由があります。
病院は「院内システムエンジニア」とは呼ばず、上で紹介したように「医療情報技師」と呼んでいるからです。
私は現職の身として、良い面・悪い面含めてこのブログを通して情報発信しています。
医療情報技師を知れば、「そんな仕事があるとは知らなかった。一度は考えてみるか」と思って頂けるはずです。
▼院内SEの求人は一般的な転職サイトでは探しにくいためコツが要ります。その方法をこちらの記事で紹介しましたので、参考にしてください!
以上、院内でシステムエンジニアとして働く私から、医療系SEの仕事について紹介しました。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
最後に
当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。
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