病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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【法改正】病院内SEから見た、2020年の総括と2021年の動き

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こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

管理人の白狐(しろぎつね)です。

 

いよいよ年の瀬となり、2020年も残すところあと僅かとなりましたね。

コロナに始まりコロナに終わる一年で、私は仕事でもプライベートでもとにかくコロナ一色でした。中国の武漢市から邦人を乗せたチャーター便が到着したり、豪華客船ダイヤモンド・プリンセスで集団感染が発生したりしていた頃は、まさかここまで世界が様変わりするとは思いも寄りませんでしたよね。

 

当院でも、予定していたシステム導入が延期となり、コロナ対策を最優先課題としてハード的(設備)にもソフト的(運用)にも対応に追われた一年でした。

 

さてそんな2020年でしたが、対コロナ政策として政府主導のIT化推進が注目を浴びた一年でもありました。テレワーク、オンライン診療、マイナンバーカードによるオンライン資格確認など国内の医療体制を大きく変えるような変革が、いま医療の世界で進んでいます。病院への影響を考える上では、これら政策の根拠となる法改正の情報が欠かせません

 

当ブログでは、病院に対する法改正の影響を都度取り上げてきました。本記事では一年の総括として過去記事を振り返りながら、2021年の展望をしてみたいと思います。

 

 

2020年で行われた法改正

 

令和2年度 診療報酬改定

4月には診療報酬改定がありました。対面で行うことが要件だったカンファレンスに情報通信機器の使用が認められたり、夜間看護体制加算の要件として「ICT等を活用して業務負担を行うこと」が追加されたりと、IT活用の制度化が目立った改正でした。

 

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2020年4月 民法(債権法)改正

時を同じくして、民法が実に120年ぶりの改正を果たしました。病院に関わるところでは、債権法の分野が変わり、連帯保証人の債務に極度額を設けることが義務付けされました。

 

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システム面への影響はなさそうですが、事務方の一員として知っておいた方がよいと思います。

 

2020年4月 働き方改革関連法

同じく4月からは、働き方改革関連法に定められた時間外労働の上限が中小企業も対象とされました。原則月45時間・年360時間となり、タイムカードやPC等による労働時間の記録や現認が義務化されています。

 

 

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いまから勤怠管理システムを導入するのであれば、昔ながらのタイプ(紙のタイムカードを打刻機に挿入して刻印するもの)ではなく、PCやタブレットなどにICチップの入ったカードをタッチするといった、今どきのシステムが視野に入ってきますよね。導入コストはかかりますが、テレワークや遠隔診療といった将来の働き方を見据えるならIT化は必然と言えますから、ぜひ検討したいものです。

 

2020年4月 医療法改正(医療被ばくの線量管理・記録)

改正医療法も4月に施行されました。X線装置などを持つすべての医療機関において、医療被ばく時の線量を管理・記録することが義務付けされました。

 

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2020年6月 改正食品衛生法の施行

6月は改正食品衛生法が施行となり、食品を加工・製造・調理する事業者にHACCP(ハサップ)の導入が義務付けされました。食品取扱い上のルールが変わりますので、病院給食に関係してきます。

 

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2020年6月 改正女性活躍推進法の施行

また、女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法)等の一部を改正する法律も6月に施行されました。企業に対し、女性が働きやすい職場づくりを計画立てて行わせ、それらを公表させることで女性活躍の取り組みを広めようとするものです。

 

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オンライン診療の初診解禁

さて、病院内SEとして今年一番のインパクトがあった法改正はやはりオンライン診療の初診解禁でした。従来オンライン診療は限定された範囲でのみ認められ、初診では認められませんでしたが、コロナ対策のため特例措置として解禁されたのです。

 

解禁をきっかけにオンライン診療活用の議論が盛んに行われ、いまでは恒久化に向けて検討が進んでいる状況です。

 

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オンライン診療には要件が多くハードルが高いのが難点でしたので、要件が緩和され診療報酬の点数が上がれば、IT化の波に乗って一気に進むかもしれません。

 

実際、今年は何をするにも「オンライン」だった年です。入院患者への面会、学会、採用面接、就職説明会、テレワークなどあらゆる行事がオンライン化を余儀なくされました。準備は大変だったでしょうが、いざオンラインでやってみると対面よりも評判がよかったりして、一時的な措置のはずが完全に移行してしまう可能性も秘めています。

 

オンライン診療に向けてどんな準備が必要なのか、今一度振り返っておくことをオススメします。

 

 

ここまで、2020年の法改正をまとめました。多くの改正法が施行され、コロナ禍と同時並行で対応に追われた病院も多いはずです。

 

法改正は計画立てて行われますから、できれば事前に情報を察知して影響範囲を予測したいものです。他院が対応するのを知ってから動くのでは対策が後手に回り、苦しくなってしまいます。病院の業務は法令と密接に結びついていますから、年末年始などの時間のあるときには情報収集しておくことをオススメします。

 

 

次に、2021年の法改正を見ていきます。

 

2021年に予定されている法改正

 

改正個人情報保護法(施行日未定)

2020年6月に交付された改正個人情報保護法が「2022年6月12日までに」施行されます。「までに」ですので施行日は未定ですが、2021年に施行される可能性も考えて取り上げておきます。

 

www.ppc.go.jp

 

法律の専門家でなくても分かりやすいよう解説されたサイトがありますので、ご紹介しておきます。

keiyaku-watch.jp

 

個人的に気になる部分をピックアップしていきます。

※以下はあくまで管理人の推測や考えに基づく内容になります。あしからず。

 

保有個人データの開示請求のデジタル化

個人情報の開示は「書面による交付」が原則だったものが、「電磁的記録」によるものも認められるとのこと。事業者は、請求者の指示する方法によって開示しなければならないようです。

 

これまではカルテ開示に関しても書面が基本だったはずです。いまは電子カルテが普及していますから、あらゆる診療情報を電子データで開示するよう要求されるかもしれないということですね。CDなどの媒体にデータを落とす方法を確認しておくべきかもしれません。

 

個人データの授受についての第三者提供記録の開示請求権

個人情報取扱業者は、個人データを第三者に提供したり・されたりする際に記録を作成しなければなりません。現行ではその記録を本人が開示請求することができなかったところ、認められることになったというもの。

 

個人情報取り扱い業者とは

 

  「個人情報取扱事業者」とは、個人情報保護法第2条第5項において、「個人情報データベースなどを事業の用に供している者」と定義されています。また、「個人情報」とは、生存する個人に関する情報のことで、氏名、生年月日などのデータによって特定の個人を識別できる情報、または個人識別符号(※)を含む情報のことを指しています。

 

個人情報取扱事業者の責務|組織幹部のための情報セキュリティ対策|企業・組織の対策|国民のための情報セキュリティサイト

 

 

これは、SNSによる匿名での誹謗中傷に対するものではないでしょうか。例えば誹謗中傷により不特定の人に自宅や電話番号といった情報が割れた場合、どこから漏れたのかを調べるために、疑わしい事業者に対して「いつ、だれとどんな情報をやり取りしたか」を本人が問い合わせ出来るということになります。

 

こちらのサイトで、法改正の予定がカレンダーでまとめられています。2021年は少ないようで、病院に絡む法改正は個人情報保護法くらいかな?と思いますが、ぜひチェックしてみてください。

keiyaku-watch.jp

 

マイナンバーカードによるオンライン資格確認

法改正ではないですが、マイナンバーカードによるオンライン資格確認(保険証の資格確認)がいよいよ2021年(令和3年)3月から始まります。病院内SEにとっては大仕事ともなるビッグイベントではないでしょうか。

 

義務でこそないものの、政府は2022年度までにすべての医療機関において導入を目指すと意気込んでいますので、何らかの手を打たなくてはならないでしょう。医事システムの改修やインフラ増強なども絡んできますので、病院としてどう対応するか検討が必要です。

 

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whitefox21.hatenablog.com

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

以上、病院内SEの視点から法改正を取り上げ、2020年の総括と2021年の展望を行ってみました。

 

病院ではあらゆる職業が法に定められた資格に則って仕事していますので、とにかく従わなければならない法律が多く、「適切に守れているか」が常に求められます。こうした法改正にも普段から目を配っておくことが大切と言えます。

 

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当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。面白そうだと思っていただけたら、ぜひブラウザにお気に入りの登録をお願いします!

 

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