こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
管理人の白狐(しろぎつね)です。
マイナンバーカードを健康保険証として利用できる「オンライン資格確認システム」の本格運用が2021年10月から始まっています。
このシステムを導入すると、健康保険の最新の加入情報をリアルタイムに確認できるほか、患者の過去の服薬情報や特定健診の情報も閲覧できるため、医療機関においては診療の効率化やさらなる質の高い医療の提供が期待されています。
また令和4年度の診療報酬改定により、オンライン資格確認システムを診療に活用した場合には所定の点数を算定できるようになりました。
その普及状況を把握しておくことは、病院で稼働するシステムの将来を設計・検討するうえで参考となります。
そこでこの記事では、マイナンバーカードの保険証利用の状況を、カードの普及率とともに定期的に確認していきます。
医療機関でシステム管理を担当されている方は、よろしければ参考にしてください。
目次
マイナンバーカードの普及状況
オンライン資格確認システムを利用するには、マイナンバーカードが必須です。
そこで、まずはマイナンバーカードの普及状況を見ていきましょう。
管轄である総務省が情報を公開していますが、あまり見やすくないため(笑)、下記のサイトが便利です。
都道府県別にカードの交付率を確認することができます。
2022年3月1日時点では、42.4%となっています。
以前は30%程度でしたので、少し上がってきたなという印象です。しかしまだ、国民の半数以上はカードを持っていないということになりますね。
最近ではテレビCMなどいろんなシーンでカードの広告を見かけるようになりましたが、それでも普及率は今一つという印象です。
さて、マイナンバーカードを保険証として使うには、それらを紐づけするための申し込みをマイナポータル(マイナンバーカードのポータルサイト)にて行っておく必要があります。カードを発行したからと言ってすぐに保険証の代わりになるわけではありませんので、医療従事者であれば頭の片隅に入れておきましょう。
マイナンバーカードを持ってきたのに使えないんだけど!って窓口で言われるかもね。
ありそうですよね・・・。
カード保有者のうち、保険証利用の申し込みをした人数も公開されているので見てみましょう。こちらは、厚生労働省のホームページになります。
3月27日時点で、7,983,012人(・・・①)。
いっぽう、総務省で公開されている資料によると、3月1日現在の国内人口は126,654,244人(・・・②)。
引用:
https://www.soumu.go.jp/kojinbango_card/kofujokyo_07.html
つまり全人口のうち、①÷②=約6%が、マイナンバーカードを保険証として使える人、ということになります。
ちなみに、マイナンバーカードを持っている人の人数は53,759,380人(・・・③)ですので、カードを持っている人でも、保険証として使える人の割合は①÷③=約15%です。
ふーむ・・・まだまだ少ないね。
カードを持っていても、保険証として使っているのはまだ少ないんですね。
上記の計算は全人口をベースとしていますが、カードを利用する人の多くは成人のはず。その中でも病院にかかる人が保険証として使うわけですから、全人口を母数とするのは実態を把握するには不適切と言えます。実際の利用率はもう少し上がるでしょう。
しかしそれを加味しても、普及しているとは言い難い状況ではあります。
医療機関でのオンライン資格確認システムの導入状況
では、オンライン資格確認システムを導入している医療機関はどれくらいいるでしょうか。
これも、厚生労働省のオンライン資格確認サイトに資料が載っていますので引用します。
3月27日時点で、病院の全国総数は8,219施設。そのうち、運用を開始している病院は2,331施設。つまり、2,331÷8,219=約28%が、オンライン資格確認システムを導入している病院ということになります。
病院側も、まだ準備ができていないということね。
全国の3割に満たないわけですから、まだまだこれからです。
厚労省は、2023年3月末までに概ねすべての医療機関でシステムの導入を目指す、と意気込んでいます。つまりあと1年で残りの7割を埋めるということですが・・・なかなか難しそうな気配に思えます。
これから厚労省がどう動いてくるか、ですね。
マイナンバーカードを診療に活用すると診療報酬が算定できる
令和4年度に診療報酬が改定され、マイナンバーカードを用いて患者の保険情報を照会し、薬剤情報や特定健診の結果を診療に活用した場合には、病院側で診療報酬が算定できることになりました。
実はオンライン資格確認システムを導入するには、病院側が費用を負担しなければなりません。補助金が下りるものの導入費のみが対象であるため、維持費は持ち出しとなります。この点が、病院への評価として診療報酬に組み込まれた形です。
しかし患者側からすれば、便利だからマイナンバーカードを使っているだけなのに、余計にお金を支払うことになる・・・というのは納得がいかないかもしれません。
実際、4月には早速ニュースにもなっていましたね。
お金かかるなら、マイナンバーカード使わない方がいいって思われるのも仕方ないね・・・。
ここが保険証利用の足かせとなれば、全ての医療機関への普及はさらに遠のく気がします。
オンライン資格確認システムのゆくえ
とはいえマイナンバーカードは、ゆっくりではあるものの利用機会が増えてきています。例えばオンラインで確定申告を行ったり、運転免許証の更新時にオンラインで研修を受講したりといったことが可能になりました。行政のデジタル化は緩やかに進んできています。
医療機関においても、従来は外界から遮断された電子カルテシステムが、オンライン資格確認により外部のネットワーク基盤と繋がるようになるなど、ますますシステム化が進んでいます。そしてデジタル化によって受けた恩恵を日々の診療に活かすことが、病院の収益に結びつくようになりました。
厚労省の意気込みからして、「2023年3月末までの全国導入」が実現されなければ、診療報酬点数の引き上げや、施設基準での義務化なども想定されます。
オンライン資格確認が診療報酬によって評価される以上は、導入の可否を一度は考える必要があるのではないでしょうか。
医療情報技師として、定期的に普及状況を確認していきたいと思います。
最後に
当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。
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