病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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オンライン資格確認ポータルサイトで顔認証付きカードリーダー端末が発表~メリットとデメリットを比較!

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厚労省が管理するオンライン資格確認のポータルサイトにて、補助金の対象となる顔認証付きカードリーダーの端末が3機種発表されましたね。すでに選定作業に入っている医療機関もあることと思います。どんな端末なのか、見ていきたいと思います。

 

www.iryohokenjyoho-portalsite.jp

 

オンライン資格確認ってなに?補助金はどうすればもらえるの?という方は、概要をこちらの記事で紹介しましたのでご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

顔認証付きカードリーダーを用いた認証の仕組みは厚労省により仕様が決められているので、3機種とも共通しています。これについてはこちらをご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

 

メーカーは富士通パナソニック、アルメックスの3社

顔認証の分野では国内メーカーで著名なNECが入っていなかったのは意外でしたが、大手メーカーが顔を揃えました。富士通のものは、高速ドキュメントスキャナのScanSnapで有名なPFUが手掛けています。パナソニックは説明不要でしょう。アルメックスは再来受付機や精算機のメーカーであり、医療業界に勤めるシステムエンジニアならご存知の方も多いと思います。

 

認証の仕組みや仕様など、オンライン資格確認制度に求められるベースの機能はどの製品も満たしているので、他システムとの親和性やデザイン、オプション機能などで比較する形になります。

 

他システムとの連携が決め手か

せっかく導入するのであれば、マイナンバーカードを用いた保険確認の用途だけでなく、将来的に機能を拡張していけるかどうかも検討したいですよね。そもそもオンライン資格確認自体は義務ではないので、ほかのメリットがなければ重い腰が上がらないというもの。

 

富士通パナソニックはカタログがかなりあっさりしていて、マイナンバーカードの読み取りと顔認証機能という基本的な機能だけが紹介されています。

 

いっぽう、顔認証付きカードリーダーと再来受付機とが融合したアルメックスの一体型モデルは興味を引きます。当院ではまだ再来受付機がなく、有人での受付となっており、かねてから導入のタイミングを伺っていました。同社の精算機を導入しているところでは、再来受付機と精算機との連携もあり得ると思います。このあたりはメリットになりますね。

また「こども医療費受給者証」などの紙の公費受給者証も読み取り可能とのことなので、「主保険はマイナンバーカードを読み取り、公費は目視で」といった切り分けを避けることができそうです。

 

余談ですが、マイナンバーカードで確認できるのは現状で主保険のみであり、公費や市町村独自の助成については対応していません。つまりこれらについては目視で確認し、手作業で医事システムに登録するという手間はこれまでと変わらないのです。主保険のみ保険確認の作業が軽減される、という点に注意する必要があります。

 

また、富士通パナソニックの機種は外部接続インタフェースがUSBのみですが、アルメックスのものはLANとHDMI端子が付いています。カタログでは特に触れられていないため推測になりますが、LANでは医事システムと連動して保険確認と同時に受付するといったことや、より操作しやすい外部ディスプレイに映し出すといったことも可能になるのではないでしょうか。

 

インフラにかかる費用をどう見るか

顔認証付きカードリーダーの端末は一定の条件下で無償提供されるものであり、補助金を使えば医事会計システムの改修費用もある程度賄えますが、それ以外の部分では自費で対応しなくてはなりません。具体的なデメリットとして、顔認証付きカードリーダーに接続するインターネット環境の整備が挙げられます。

 

 

当院のベンダーに話を聞いたところでは、専用の光回線を引くことが望ましいとのことでした。それも当然で、保険情報を持つ医事会計システムはセキュリティ上インターネットから切り離された環境であることがほとんどですから、外部のオンライン資格確認ネットワークと繋げるために別回線が必要になる、というのは理解できますね。この光回線を整備するだけでなく、月額の維持費もかかってきますから、固定費がどれだけ病院の収益に貢献してくれるのかが問題です。

 

オンライン資格確認制度は、保険証の目視確認作業をなくし窓口の業務負担軽減になるほか、保険誤りによるレセプト返戻の防止といったメリットが掲げられてはいるものの、正直どれだけの費用対効果が見込めるのかは未知数です。導入時にだけ費用がかかるならまだしも、維持費用がずっとかさむようでは諸手を挙げて入れるというわけにはいきません。新型コロナウイルスの感染拡大で経営が逼迫する今とあっては、収益への貢献度は死活問題となります。

 

上記ポータルサイトで公開されている医療機関向けの資料には記載がなくても、ベンダーに聞いてみると「実はこんな費用もかかるんですよ」「こういう作業も必要になりますけど、知ってました?」というような話も聞けたりするので、自院のベンダーとはよく情報共有し、進めたいものです。

 

2020.9.8追記

厚労省の資料がだいぶ出てきましたので、 オンライン資格確認について病院がすべきことをこちらの記事にまとめました。併せてご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

2021.1.14追記

厚労省ポータルサイトに公表されているカードリーダーの申込数を見ると、まだまだ低い状況です。延期派・反対派が多いかもしれません。こちらの記事で取り上げましたので、併せてご覧ください。

whitefox21.hatenablog.com

 

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