病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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【マイナンバー】オンライン資格確認で病院がすべきことまとめ

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。

 

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こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

 

当ブログで過去にたびたび取り上げているように、健康保険証の代わりにマイナンバーカードを使って保険確認を行う「オンライン資格確認」制度が2021年3月から開始されます。

 

厚生労働省のホームページでポータルサイトが開設され、マイナンバーカードを読み取る顔認証付きカードリーダーの申込受付が始まっています。しかし、医療機関向け資料を読んでも例によって字面のオンパレードで内容が理解しづらく、結局何を準備すればいいのかよく分からない、という方も多いのではないでしょうか

 

そこで本記事では、細部の説明を省略し、オンライン資格確認の全容が分かるよう、病院をはじめとした医療機関が何をしなければいけないかを端的にまとめていきます。

 

 

 

オンライン資格確認制度をおさらいする

まず前提として、オンライン資格確認制度は義務ではありません。国がマイナンバーカードの普及を押し進める上での政策の一環として導入されるものです。

 

医療機関側としては、導入に費用がいくらかかるのか、維持費用はどれくらいか、を見極める必要があります。国はマイナポイントというポイント還元策でマイナンバーカードの普及に腐心していますが、取得率は依然として低調です。実際にどれくらいの利用者が見込まれるのかも想定しておくべきでしょう。

 

制度の概要については、下記記事でご紹介していますのでご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

開始までのスケジュールを把握する

厚労省の資料によると、開始までのスケジュールは下記のとおりとなっています。

 

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https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000663427.pdf

 

 

「顔認証付きカードリーダーの申込」というのは、厚労省が定める、医療機関に無償で配布されるカードリーダーを使う場合に必要な手続きです。2020年10月まで線が引かれていますが、ポータルサイトによれば、2021年3月からオンライン資格確認を行う場合は9月末までに申し込むよう、案内があります。

 

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https://www.iryohokenjyoho-portalsite.jp/

 


 

導入費用は少しでも抑えたいですから、まずは「どの顔認証付きカードリーダーを選ぶか」が目下のやることになります。

 

顔認証付きカードリーダーを選定する

顔認証付きカードリーダーのメーカーは、富士通パナソニック、アルメックスの3社です。それぞれのカードリーダーについては、下記記事で紹介しましたので参考にしてください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

カードリーダー以外にかかる費用を見積もる

ここが肝心なのですが、カードリーダー以外にかかる費用を見積もらなくてはなりません。まずは、厚労省の資料を見てみます。

 

 

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https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000601465.pdf

 

 

資格確認端末

顔認証付きカードリーダーのカタログからも分かるように、カードリーダーのインタフェースはUSBです。読み取ったマイナンバーカードをオンラインで確認するわけですが、カードリーダー単体ではできず、パソコンの周辺機器として接続し、使うということになります。このパソコンが資格確認端末と呼ばれるものです。

 

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https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000601465.pdf

 

 

しかも、ただのWindows10のPCではないことに注意が必要です。要件として「Windows10 IOT Enterprise 2019 LTSC」とあります。聞き慣れないバージョンですね。シンクライアントや組み込み向けに作られた特殊なOSです。

NECのWebサイトに、「Windows10 IOT Enterprise 2019 LTSC」搭載PCがラインナップされていますので、実物がどんなものかは一度確認してみましょう。

 

jpn.nec.com

 

さらには、LAN回線が2ポート必要とあります。つまり資格確認端末が院内ネットワークとオンライン請求ネットワークの両方に接続し、確認した保険情報をレセプトコンピュータに流す、という流れになります。

 

1つのPCで2回線をまたぐため、セキュリティ対策に万全を期すことが求められます。インターネット回線から院内ネットワークに侵入されるなどということが起きては、取り返しのつかない情報漏えいになります。アンチウイルスソフトや侵入検知ソフトはもちろん、利用できる職員を限定したりあとから特定できたりする仕組みづくり、外部からの攻撃を防ぐためのファイアウォールを噛ますなど物理的な対策も講じる必要があるでしょう。

 

 

レセプトコンピュータの改修

医事課では、保険証を確認した日付をレセプトコンピュータに記録し、最終確認日が追えるようにしていますね。この手作業が、オンライン資格確認により自動で行われることになりますが、当然ながら保険情報を受け取るために既存レセプトコンピュータの改修が必要になります。

 

「初診患者の場合は保険情報を全自動で登録してくれるのか?」「子ども医療費などマイナンバーカードでは確認が取れない公費はどう扱うのか?」といった部分について、システムベンダーと話を詰めなくてはなりません。

 

インターネット回線

オンライン請求している医療機関においては、オンライン資格確認を既存の請求用回線に相乗りする形で利用することが可能です。しかしオンライン請求に対応していない医療機関では、新たにインターネット回線を敷設する必要が出てきます。インターネット回線の敷設費用のほか、月額の使用料が発生します。

 

2020.10.30追記:

▼オンライン資格確認に伴い、健康保険証の記号・番号が一意となるよう枝番が追加されました。こちらの記事で紹介していますので、併せてご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

2020.12.2追記:

オンライン資格確認のポータルサイトにて、導入に向けた準備作業をまとめた手引書が公開されました。スケジュールに沿って説明されていますので、ぜひ参考にしてください。

 

オンライン資格確認導入に向けた準備作業の手引き

 

 

以上、オンライン資格確認で病院がすべきことをざっくりまとめました。本記事は細部を省いて概要を説明したものですので、詳しい内容については厚労省ポータルサイトに掲載されている資料をよく読んでください。

 

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当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。面白そうだと思っていただけたら、ぜひブラウザにお気に入りの登録をお願いします! 

 

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