病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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【2023年4月義務化】オンライン資格確認ですべきことをおさらい!

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病院のSEとして10年以上働いている白狐(しろぎつね)です。

 

当ブログでもたびたび取り上げているとおり、健康保険証の代わりにマイナンバーカードを使って保険確認を行う「オンライン資格確認」(通称、マイナ保険証)の導入が2023年4月から医療機関に対して義務化されます。

 

ところが、何をどう進めればいいのか理解できておらず、厚生労働省のホームページを読んでも結局分からない、という方もいるのではないでしょうか。

そこで本記事では、細部の説明は省略して、オンライン資格確認の全容が分かるよう、医療機関が何をしなければいけないかを端的にまとめていきます。

 

いきなり義務化って言われても、何をすればいいのかサッパリだよ。

 

なるべく、全体像が分かるように説明します!

 

目次

 

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まずは「オンライン資格確認」の中身を知ろう

基本事項のおさらいになりますが、まずは「オンライン資格確認」の中身をしっかり理解しておきましょう。

 

オンライン資格確認は、従来の健康保険証に代わってマイナンバーカードを保険証として使うための認証基盤のことです。マイナンバーカードの普及政策の一環として厚生労働省が進めており、2023年4月から医療機関に対して導入が義務化されました。

オンライン資格確認システムを導入すると、患者がマイナンバーカードをカードリーダーにかざすだけで、保険確認ができます。保険証を目視で確認する必要がなくなるほか、最新の保険情報が確認できるため、すでに資格を失効している場合の過誤請求防止にも役立ちます。

国保、社保、後期高齢のほか、限度額認定証の情報が確認できますが、すべての保険情報を網羅しているわけではなく、例えば自治体が独自に提供する公費制度は対象外となります。対象外の保険については、従来どおり本人から受給者証を提示してもらう必要があります。

 

以前は義務ではありませんでしたが、今年8月に義務化が発表されたんですよね。

 

▼厚労省のポータルサイト。いろんな告知がてんこ盛りで、何がなんだか分からない状況になっています・・・。

医療機関等向けポータルサイト ホームページ

 

導入にあたって、費用がいくらかかるのか、維持費用はどれくらいか、どのようなスケジュールで進めるか、を見積もる必要があります。国はマイナポイントというポイント還元策でマイナンバーカードの普及に腐心していますが、取得率は依然として低調です。実際にどれくらいの利用者が見込まれるのかも想定しておくべきでしょう。

 

▼4月時点でのマイナ保険証の利用状況をこちらの記事にまとめました。よろしければ、併せて参考にしてみてください!

whitefox21.hatenablog.com

 

厚労省のホームページで最新の「手引き」を確認しよう

医療機関向けの導入手引き書(PDF)が、厚労省のホームページで公開されています。ときどきPDFが更新されているので、ホームページから参照するようにしたほうがよいと思います。ある日、しれっと資料が変わっていることもありますので・・・。

 

www.mhlw.go.jp

 

▼相変わらず、どこになんの情報が載っているのか分かりづらいページですが、ココにあります。


この手引きに沿って進めていきます。

 

通常、医療機関におけるシステム導入というのはベンダーが主体となってプロジェクトを進めていくものですが、このオンライン資格確認に関しては医療機関主導になります。そのために、厚労省がさまざまな資料を公開しているわけですね。

しっかり資料を読み、中身を理解しながら進めましょう。

 

▼手引きで説明されている、作業全体の流れ。

 

まず、最初にやるべきことは顔認証付きカードリーダーを注文することです。

 

顔認証付きカードリーダーを選定する

カードリーダーには顔認証機構が付いており、オンライン資格確認においては必須機能となっています。顔認証付きカードリーダーのメーカーは、富士通、パナソニック、アルメックス、キャノンの4社から選びます。

カードリーダーは厚労省から無償で提供されるものとなっており(病院の規模によって台数に上限あり)、費用はかかりません。

 

オンライン資格確認が始まった当初はキャノンを除いた3社で、それぞれのカードリーダーについては過去に記事で紹介しました。よろしければ参考にしてみてください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

そこで、カードリーダー以外にかかる費用を見積もっていきます。

 

システムベンダーへ見積もりを依頼する

さて、ここからが肝心です。カードリーダー以外にかかる費用を見積もらなくてはなりません。まずは厚労省の資料から、準備しなければならないものをチェックします。

 

f:id:whitefox21:20200908133613j:plain

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000601465.pdf

 

 

資格確認端末

顔認証付きカードリーダーは単体では使用できず、パソコンの周辺機器として接続します。このパソコンが資格確認端末と呼ばれるものです。

各社カードリーダーのカタログを見れば分かりますが、カードリーダーのインタフェースはUSBとなっています。

 

f:id:whitefox21:20200908135124j:plain

https://www.mhlw.go.jp/content/10200000/000601465.pdf

 

注意点は、ただのWindows10ではないこと。要件として「Windows10 IOT Enterprise 2019 LTSC」とあります。聞き慣れないバージョンですね。シンクライアントや組み込み向けに作られた特殊なOSです。

NECのWebサイトに、「Windows10 IOT Enterprise 2019 LTSC」搭載PCがラインナップされていますので、実物がどんなものかは一度確認してみましょう。

 

jpn.nec.com

 

さらには、LAN回線が2ポート必要とあります。つまり資格確認端末が院内ネットワークとオンライン請求ネットワークの両方に接続し、確認した保険情報をレセプトコンピュータに流す、という流れになります。

 

1つのPCで2回線をまたぐため、セキュリティ対策に万全を期すことが求められます。インターネット回線から院内ネットワークに侵入されるなどということが起きては、取り返しのつかない情報漏えいになります。アンチウイルスソフトや侵入検知ソフトはもちろん、利用できる職員を限定したりあとから特定できたりする仕組みづくり、外部からの攻撃を防ぐためのファイアウォールを噛ますなど物理的な対策も講じる必要があるでしょう。

 

 

レセプトコンピュータの改修

医事課では、保険証を確認した日付をレセプトコンピュータに記録し、最終確認日が追えるようにしていますね。この手作業が、オンライン資格確認により自動で行われることになりますが、当然ながら保険情報を受け取るために既存レセプトコンピュータの改修が必要になります。

 

「初診患者の場合は保険情報を全自動で登録してくれるのか?」「子ども医療費などマイナンバーカードでは確認が取れない公費はどう扱うのか?」といった部分について、システムベンダーと話を詰めなくてはなりません。

 

▼オンライン資格確認に伴い、健康保険証の記号・番号が一意となるよう枝番が追加されました。こちらの記事で紹介していますので、併せてご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

オンライン請求回線

オンライン請求している医療機関においては、オンライン資格確認を既存の請求用回線に相乗りする形で利用することが可能です。しかしオンライン請求に対応していない医療機関では、新たにインターネット回線を敷設する必要が出てきます。インターネット回線の敷設費用のほか、月額の使用料が発生します。

 

 

以上の設備についてそれぞれのベンダーへ見積もりを依頼し、費用を積算していきます。導入にかかった費用には、病院の規模に応じて一定の補助金が出ますので、いくらくらいを自費で払うのかも計算しておきます。

 

見積もりが出たら、いよいよ発注

見積もりが出ると、自然とスケジュールの話も出てきます。ベンダーへ支払う費用と期間に目処がつけば、いよいよ発注です。

 

工事やシステム改修が終わったら、正常に動作するかテストし、問題がなければ晴れて運用開始となります。運用開始日が決まったら、厚労省のオンライン資格確認ポータルサイトにて日付を申告しなければなりませんので、お忘れなく。

 

▼運用開始日を申告すると、マイナ保険証を使える医療機関として厚労省のホームページに公開されます。サイトの見方をこちらの記事で説明しました。

whitefox21.hatenablog.com

 

医療機関側で大変なのは、発注するまでの調整作業です。何をいつまでに用意すればいいのかをまとめ、発注してしまえば、あとはベンダー側の作業を見守るだけです。

運用開始したら、ベンダーからの領収書を用いて補助金の申請をします。こちらも忘れずに行いましょう。

 

早めに動いて、安心して2023年4月を迎えよう

通常、医療機関でシステムを導入するときはベンダーが主体となってプロジェクトを進めていくものですが、オンライン資格確認に関しては少し事情が違います。医療機関が自ら厚労省へカードリーダーの申請をしたり、関係ベンダーと連絡を取り合ったりして、旗振り役を担う必要があります。慣れない調整作業に戸惑うかもしれませんが、想定外の事態が起きても余裕を持って対処できるよう、早めに動くことをおすすめします。

 

▼少し古い記事ですが、オンライン資格確認が義務化される前に、このシステムを導入するデメリットを考えました。興味があれば、こちらも併せてご覧くださいね。

whitefox21.hatenablog.com

 

 

 最後に

当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。

 

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