病院のSEとして10年以上働いている白狐(しろぎつね)です。
北海道は夏の暑さがすっかり過ぎ去り、朝晩はストーブを付けるか迷うくらい肌寒い季節になりました。秋といっても涼しいどころか寒いので、北海道民にとってはもう冬支度をしなければ・・・と思う時期。
冬支度というと、一般的には冬物の衣服を引っ張り出して薄着を仕舞うことかなと思いますが、北海道ではこれに加えて車のタイヤ交換、物置に置いてある雪かき道具のチェック、など面倒な作業があります。屋外の雪遊びが楽しみな半面、冬が来てしまうのか・・・とやや憂鬱にもなります。しかし、不思議なものでいざ雪が降るとそれはそれで嬉しかったりもするんですよね。雪国生まれのサガなのでしょう。
さて9月は、オンライン資格確認(マイナ保険証)関連のニュースが多かった月でした。医療情報技師の立場から、気になったものを3つピックアップします。
目次
- 訪問診療や訪問看護等、初回訪問時に「過去の診療情報共有」等の包括同意を取得する仕組みに—社保審・医療保険部会(2)
- 資料4 「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」の運用開始について(PDF:2,161KB)
- マイナンバーへ登録した銀行口座を活用した健康保険の保険給付等について
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訪問診療や訪問看護等、初回訪問時に「過去の診療情報共有」等の包括同意を取得する仕組みに—社保審・医療保険部会(2)
8月に開催された社会保障審議会・医療保険部会において、訪問看護や訪問診療における「オンライン資格確認」や「診療情報の共有に必要な同意」については、初回訪問時にのみモバイル端末にて行い、それをもって包括的な同意として、訪問の都度確認することはしない仕組みに、という議論が交わされました。
オンライン資格確認は2023年4月より原則義務化になったため、マイナ保険証を使う基盤が4月には整う形になります。それを踏まえ、モバイル端末にて保険情報の確認や診療情報の閲覧をできるようにしよう、という話ですね。これは、現場の医療従事者にとっては朗報でしょう。
在宅へ訪問して診療や看護を行う場合、重い資料を持ち運ぶことがよくあります。また、現在は出先から過去の診察履歴や処方歴を見たくても、カルテを持ち運んでいなければ見られないため、病院に帰ってから確認するなど手間がかかっていました。モバイル端末を利用してオンライン資格確認システムにアクセスし、これらの情報を閲覧できればタブレット一つ持ち歩くだけで事足りることになり、業務効率向上や現場業務の負担軽減に繋がります。
どの業界でも同じですが、昨今は人手不足が深刻です。働き手が足りない一方、業務量は削減どころか増えるばかり。医療業界でも医師の働き方改革や業務の見直しが行われていますが、治療を事業とする病院では大鉈を振るって思い切った改革をするのはなかなか難しいところがあります。そこを補助するのがIT化だと私は考えていますので、こうした動きは歓迎しています。
しかしこの記事にもある通り、オンライン資格確認システムの導入が未だに低調なのが課題。興味深いのは都市圏ほど低いというところで、8月時点では東京(31.4%)、大阪(32.6%)、福岡(35.6%)という普及率。これから急ピッチで進むのでしょうが、これではモバイル端末の利用はほど遠いと言えます。導入の加速化が期待されるところですね。
引用:
訪問診療や訪問看護等、初回訪問時に「過去の診療情報共有」等の包括同意を取得する仕組みに—社保審・医療保険部会(2) | GemMed | データが拓く新時代医療
▼オンライン資格確認を導入するまでに病院がしなければならないことを下記記事にまとめました。「いったい何から手を付ければよいのかわからない」という方は参考にしてもらえれば幸いです。
資料4 「全国で医療情報を確認できる仕組みの拡大」の運用開始について(PDF:2,161KB)
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000210433_00029.html
オンライン資格確認で確認できる情報は、当初は特定健診と薬歴の情報のみでしたが、9月11日から診療情報(過去の医療機関受診歴や診療行為)も見られるようになりました。
私はこの辺の情報を事前にピックアップ出来ていなかったので、「え、そんなこともできるようになったの!?」と面食らった感じですが、徐々に情報公開の範囲が広がってきていますね。この仕組みは病院間の情報共有を円滑にし、これまで以上に促進させるものと言えます。
患者情報を共有する取り組みは全国で行われていますが、有志の集まりが独自に情報共有ネットワークを構築して運用している形がほとんど。情報共有には当然患者の同意が必要なため、同意を取る方法、それを担保するやり方、システムの維持費など取り決めることが多々あり、ハードルは決して低くありません。
オンライン資格確認システムにおいてはその仕組みがすでに出来上がっており、また厚生労働省が導入を強制しているので、医療機関は否が応でも情報共有ネットワークへ参加する形になります。これまで腰が重くてネットワークに参加できていなかった医療機関においては、有益なものになりうるのではないかと思います。
▼オンライン資格確認に対応している医療機関を、厚労省のホームページから閲覧することができます。近隣の病院が対応しているかどうか、都道府県や市町村の普及率はどれくらいか、を知るのに参考になりますのでぜひチェックしてみてください。
マイナンバーへ登録した銀行口座を活用した健康保険の保険給付等について
マイナポータルにて公金受取口座を登録しておくと、傷病手当金などを申請する際、登録済みの口座に振り込んでもらえるようになります。いちいち銀行口座を書く必要がなくなり、手間が省けるということですね。今後、公的給付が行われる際にはマイナンバーの口座へ速やかに送金する形になりそうです。
今も話題になっている通り、国の公金給付においては事務作業に時間と費用をかけすぎだと指摘されています。全国民への10万円給付事業は記憶に新しいところですし、低所得世帯への5万円給付には510億円費やすとのこと。対象者の絞り込みや申請の受付、本人確認などで人員が必要なのでしょう。マイナンバーに紐付けられた情報を見ればそれらを一挙に確認できますので、まさに時間と費用の節約が期待できます。今後もマイナンバーを活用した制度改革が進んでいきそうです。
以上、医療情報技師の私が注目した、2022年9月のニュースを紹介しました。
医療機関でのマイナ保険証の導入が遅れていますが、国民のマイナンバーカード発行もあまり進んでいません。総務省が行っている、マイナポイントがもらえる9月30日までのカード発行キャンペーンも結局振るわず、期限を年末まで延ばしました。医療機関での導入を義務化したところで、肝心の患者がマイナンバーカードを持っていなければ利用者がいないことになりますので、現状では政府の理想や制度設計のみが先行してばかりで、国民が付いてこれていない印象を受けます。
こうしたニュースにアンテナを張りつつも、頭でっかちにならず、自分の病院ではどれだけの利用者が見込めるのかなど現場に即した運用を常に考えなければならないなと思う次第です。
最後に
当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。
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