病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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医療情報技師が注目する、2022年の法改正まとめ

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新年、明けましておめでとうございます。

管理人の白狐(しろぎつね)です。

 

昨年は多くの方に当ブログを訪問して頂き、ありがとうございました。

特に定期的にご覧いただいている読者の方は、いつもご訪問ありがとうございます。

 

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当ブログは院内SE・医療情報技師の知名度向上を目指し、今年も定期更新していきます。

どうぞよろしくお願い致します。

 

さて、2022年が始まりました。

 

医療情報技師が年の初めにしておきたいことと言えば、法改正のチェックです。

なぜなら、法律でがんじがらめの病院にとって、法改正は院内で稼働するシステムに影響を及ぼすからです。

 

そこで新年のブログはじめは、2022年の法改正情報について触れていきます。

 

 

目次

 

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1月 改正電子帳簿保存法の施行

 

改正電子帳簿保存法が2022年1月に施行されます。法人税などの国税徴収に関係する帳簿書類を、電子媒体で保存する場合のルールを定めた法律です。

 

「電子」ってとこだけは関係しそうだけど、税金なんてSEと関係ないよね?

 

電子媒体で受け取った帳簿は、「電子媒体のまま保存しなければならなくなる」ところが気になりますね。

 

病院が業者から受け取る領収書は、これまではPDFでも紙でも認められ、特に制限はありませんでした。病院に限らず、PDFは紙に比べまだまだ社会に浸透しているとは言い難く、業者からもらう領収書は今も紙が主流だったりします。

 

特に田舎ならそうですよね。PDFでやり取りするのは、オンラインショップで購入したときくらいだと思います。

 

このため、管理を一本化するためにPDFで受け取った領収書は印刷し、ほかとまとめて管理するのが一般的のように思われます。

 

確かに。まとめてキングファイルにまとめてそう。

 

ところが、2022年1月以降は、PDFで受け取った領収書を印刷したものは帳簿書類として認められず、PDFのまま管理しなければならなくなります

 

つまり、今までの「印刷して保管」が認められなくなるということです。

 

えっ! それって一大事じゃないの!?

 

そうなんです。ところがあまり世間に知られていなかったため、土壇場になって、年末に2年間の猶予が設けられたばかりです。

 

www.itmedia.co.jp

 

 

しかも、PDFのまま保存するには要件を満たさなければなりません。

 

電子取引の取引情報に係る電磁的記録の保存等を行う場合の要件の概要

 

要件

  • 電子計算機処理システムの概要を記載した書類の備付け(自社開発のプログラムを使用する場合に限ります。)
  • 見読可能装置の備付け等
  • 検索機能の確保
  • 次のいずれかの措置を行う
    タイムスタンプが付された後の授受
    二 速やかに(又はその業務の処理に係る通常の期間を経過した後、速やかに)タイムスタンプを付す
    ※ 括弧書の取扱いは、取引情報の授受から当該記録事項にタイムスタンプを付すまでの各事務の処理に関する規程を定めている場合に限る。
    三 データの訂正削除を行った場合にその記録が残るシステム又は訂正削除ができないシステムを利用
    四 訂正削除の防止に関する事務処理規程の備付け

 

出典:

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_06.pdf

より一部抜粋

 

SEからすると、「検索機能を付ける」とか「PDFにタイムスタンプを付与する」あたりにハードルの高さを感じますよね。

マイドキュメントにPDFを保存しておくだけでは不十分であり、こうした機能を持つソフトウェアがないと簡単にはクリアできない要件です。

 

少なくとも、SEでない人には出来そうにないね・・・。

 

下記の図は国税庁がまとめた、帳簿書類の保存要件です。

 

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出典:

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_06.pdf

 

なるほど。ソフトウェアが必要だから、医療情報技師に関係するってわけね。

 

こうなると、PDFを保管するためには設備投資が必要になってしまいます。また、紙とPDFを別に管理する必要があるため、経理からすれば煩雑で仕方ありません。

 

紙管理に一本化するには、業者から領収書を「紙でもらう」ことが条件になります。

電子化を促進するどころか、紙運用を推奨するような法律と言っても過言ではないでしょう・・・。

 

土壇場で猶予期間が設けられたことから、世間の反応次第では今後対応が変わるかもしれません。院内SEとしても注目に値する法改正ですから、押さえておいて損はないと思います。

 

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併せて読みたい  

 デジタル庁の発足で病院はどう変わる?

 契約書の電子化はまだ早い? 法律は今こうなっている

 いよいよ添付文書も電子化が義務に!経過措置や移行期間は?

 

4月 診療報酬改定

 

言わずもがな、4月には病院にとってのビッグイベントである診療報酬改定があります。

 

厚労省の諮問機関・中央社会保険医療協議会(中医協)のページでは検討会の資料が随時公開されていますので、どんな方向性なのかを知るためにも、そろそろ定期的にチェックしても良い時期でしょう。

 

www.mhlw.go.jp

 

▼診療報酬ってなに?という方は、こちらの記事をぜひお読みくださいね。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

年明けからは具体的な改定内容が出て、医療機関ではその読み込みに腐心することと思います。

 

www.mhlw.go.jp

 

詳しい資料が発表され次第、当ブログでも医療情報技師の観点から診療報酬改定の内容を見ていきます

 

▼令和4年度(2022年度)診療報酬改定の特設ページで随時更新していきますので、よかったらブックマークして定期的にチェックしてみてくださいね。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

医療情報技師として働き始めた方や、ほかの病院のSEが診療報酬改定をどう見るのかを参考にしたい方は、当ブログをぜひお気に入りに登録してくださいね。

 

▼2年前の診療報酬改定時にも、改定内容をこのような記事にして取り上げました。併せてご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

4月 改正個人情報保護法の施行

 

改正個人情報保護法が4月から施行となります。

2020年6月に交付された法改正であり、2022年6月12日までに施行とされていたものが、4月に決まった形です。

 

あまり医療情報技師には関係しそうにないですが、カルテの開示が電子媒体で求められるようになるかもしれない点は要注意ですね。

こちらの記事で軽く触れていますので、併せてご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

4月 成人の年齢が18歳に引き下げ

 

4月から、成人の年齢が18歳に引き下げられます。

18歳になった日から親権に属さないことになり、携帯電話の契約などを一人で出来るようになります。

 

これも医療情報技師には直接関係ありませんが、一応知っておきましょう。

 

 

6月 Internet Explorer 11のサポート終了

システムエンジニアとしては最も大きなイベントとなるのが、このIE11のサポート終了ではないでしょうか。

法改正ではありませんが、インパクト大ですので取り上げることにします。

 

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IT黎明期から存在し、度重なるサポート終了の噂を打ち消しながら社会のレガシーシステムを支えてきたInternet Explorerが、ついに終わりを迎えます。

 

これにより、病院で稼働するシステムもMicrosoft Edgeに変えなければなりません

Microsoft Edgeには、IEをブラウジングエンジンとする「IEモード」が搭載されており、このためにIEの実行ファイルはWindows内部に残っています(IE単体では起動不可)。しかしながらIEと同等の振る舞いをしてくれるかは、各システムでの動作検証が必要です。

 

ただし、直ちに変えなければならない、ということではありません

電子カルテはインターネットから遮断されたクローズド(閉じた)環境にあるため、サポートが切れたとしてもセキュリティリスクに晒される危険性が低いことから、そのまま使い続ける場合もあります。

むしろ、システムへの影響を考慮して、IEを使い続けるケースの方が多いかもしれません。それほど、IEの終了はインパクトが大きいわけです。

 

システムベンダーと協力して、システムの確認作業や変更対応をしていくことになります。

 

▼Internet Explorer 11のサポート終了について更に詳しく知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

 

以上、医療情報技師が注目する2022年の法改正について見てきました。

 

法改正の情報を前もって知っておくと、現場の医療従事者から質問されたり、対応を求められたりしたときにも焦らず答えることができます。

法律や制度を知らなくてもシステム屋としての仕事はできますが、後手に回ったり、時間に追われて苦しくなったりしがち。

医療情報技師としても社会の動きをしっかり押さえておくことで、先回りした対応が出来ますので、参考にしてもらえればと思います。

 

 

 最後に

当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。

 

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