最近「デジタルトランスフォーメーション」という言葉をよく耳にしませんか? 何やらまたよく分からない横文字が出てきたな、と思いますがなんの事はなく、平たく言えば「IT変革」のことです。
実はIT導入に関し、経済産業省が補助金制度を始めていることをご存知でしょうか。この2つの事柄を絡めて、病院にどういう関係があるのか考えてみます。
デジタルトランスフォーメーションとは
トランスフォーメーションとは英語で「変形、変革」を意味する言葉です。単なる変化(=チェンジ)ではなく、映画「トランスフォーマー」で車がロボットに変形するように、「大胆に構造が変わる」というニュアンスを含んでいます。直訳すれば「IT変革」となりますが、昔から「IT革命」(国会議員が「イット革命」と読み上げた笑い話もありました)などと叫ばれてきたのに「なんで今なの?」と思いますよね。取り上げる特筆すべき事柄はないように思えます。
企業がプロモーションでよくやる手法ですが、既存のものを新しい用語に置き換えることで新鮮さ・真新しさを演出する意図があると思われます。これだけPCやスマホが社会に浸透し、これらなしには日常生活や仕事が成り立たなくなっているなかで、IT化という言葉はもはや死語というか、使い古されてしまい今更な印象を受けます。
しかしながら病院などの社会基盤を支える分野においては構造改革が難しく、先進的な取り組みに前向きな民間の病院を除いてはなかなか抜本的なIT化が進まず、現在に至っている経緯があります。病院に限らず、例えば中小企業ではIT化の前に目下の経営安定化が最優先であり、費用対効果もさほど見込めず見向きされていない印象を受けます。
経産省が認定制度を設立
国はこのデジタルトランスフォーメーションを推し進めたいようで、デジタル技術を使って経営改革を図っている優良な企業に対し、IPA(情報処理推進機構。基本情報技術者試験などIT系国家資格の主催団体で、経産省所管の独立行政法人)が「認定」する制度を設けました。
こうした動きから、デジタルトランスフォーメーションを社会に広め、企業に意識させていきたい狙いが見えます。
IT導入補助金2020
デジタルトランスフォーメーションを進めるとなると、具体的にはPCや経営に貢献するシステムを導入することになりますね。その費用がネックとなり重い腰が上がらない企業も多いはずです。そこで注目すべきなのが、経産省が打ち出している「IT導入補助金2020」です。
詳しい内容については上記サイトを見ていただくとして、端的に言うと、IT導入にかかった費用の1/2(最大450万円)が支給されるというもの。半分まで費用を持ってくれるのですから、これは大きい補助金です。
ざっくりな流れとしては、
- IT導入支援事業者を選ぶ
どの事業者に頼んでもいいわけではなく、補助金の対象となる事業者が決められていることに注意。 - 補助金の交付を申請
- ITツールの発注・契約・支払い
- 実績の報告
発注・契約・支払いを証明するものを提出します。 - 補助金の交付手続き
- 実施効果の報告
生産性向上に係る情報(売上、原価、従業員数及び就業時間)等を記載した事業実施効果報告を提出します。
となるようです。
上記ページには、補助金を活用して電子カルテを導入したクリニックや、勤怠管理システムを導入した介護施設などの事例が掲載されています。補助金と言うと使途が厳し目に制限されていることが多いですが、「ITツール」となっており幅広い業態に適用できそうな内容です。企業の実需に対応した政策と言えるのではないでしょうか。
いつまでに何をしなければいけないか
ホームページのスケジュールを見ると申請期限が7回に区分けされており、すでに5次までが受付を終了しています。6次の受付締切が7月31日、7次が8月31日となっているので、今から補助金を検討するなら早急に動く必要がありますね。
勤怠の管理については病院にとっても喫緊の課題ですから、一度は考えてみる価値があると思います。2020年4月からの働き方改革関連法の改正で、「労働時間の適正な把握」としてPC等の使用時間の記録といった客観的な方法による確認が義務付けされましたよね。
これについては下記記事で取り上げていますので、ご参考ください。
先日の記事にも書きましたように、いま病院でもオンライン診療やオンライン会議といったIT化が余儀なくされつつあり、遅かれ早かれ押し進めなければならない時期に来ていると思います。ましてやコロナ禍の影響で収益が激減している状況下にあっては、補助金の出る今がチャンスとも言えます。ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
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