病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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医療情報技師が注目する、2024年1月のニュース

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2024年度診療報酬改定の概要が発表されましたね。点数はまだ黒塗りの状態ですが、具体的な改定項目と施設基準が出ています。医療情報技師として気になるのはもちろんサイバーセキュリティがらみの改定と、マイナ保険証、DXあたりでしょう。この辺の個別改定項目を見ていきたいと思います。

 

▼資料は厚労省の中医協ページにあります。アップデートされるので、ちょくちょく確認することをおすすめします。

 中央社会保険医療協議会(中央社会保険医療協議会総会) |厚生労働省

 

 目次

 

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診療録管理体制加算1の要件が厳格化

診療録管理体制加算1の算定要件として、医療情報システム安全管理責任者の設置義務対象が広がり、サイバーセキュリティがらみで2項目追加されました。

 

(10) 許可病床数が●●床以上の保険医療機関については、厚生労働省「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づき、専任の医療情報システム安全管理責任者を配置すること。また、当該責任者は、職員を対象として、少なくとも年1回程度、定期的に必要な情報セキュリティに関する研修を行っていること。ただし、令和6年3月31日において、現に当該加算に係る届出を行っている保険医療機関(許可病床数が●●床以上●●床未満のものに限る。)については、令和●●年●●月●●日までの間、当該基準を満たしているものとみなす。

 

これまでは400床以上の病院に対して、医療情報システム安全管理責任者の設置や年1回のセキュリティ研修が義務付けられていましたが、許可病床数が引き下げられることで対象病院が広がります。200床とかでしょうかね…?

さらに、(11)(12)が追加されました。

 

(11) 非常時に備えた医療情報システムのバックアップを複数の方式で確保し、その一部はネットワークから切り離したオフラインで保管していること。

(12) 「医療情報システムの安全管理に関するガイドライン」に基づき、非常時を想定した医療情報システムの利用が困難な場合の対応や復旧に至るまでの対応についての業務継続計画を策定し、少なくとも年●回程度、定期的に当該業務継続計画に基づく訓練・演習を実施すること。また、その結果を踏まえ、必要に応じて改善に向けた対応を行っていること。

 

オフラインバックアップが義務化されました。半田病院等のランサム事例ではオンラインバックアップが根こそぎやられてしまったので、オフラインで取っておけば復旧がもっと速やかにできたはず…というのが教訓でした。オンラインバックアップのみの病院では、新たなハードウェア投資が必要になりますね。

また、非常時を想定した業務継続計画、つまりBCPを策定し年何回か訓練を行え、とのこと。上記2つは許可病床数にかかわらず、診療録管理体制加算1を算定するすべての病院が対象です。

 

BCPの策定のみならず、訓練までを義務化してきたのは結構厳しい内容だと個人的には思います。自然災害を想定したBCPは最近策定が進んでいますが、サイバー攻撃を想定した、いわゆるIT-BCPについては着手なり検討なりはしていても、作成や訓練までには至っていない病院がほとんどではないでしょうか。少なくとも中小規模では策定がなかなか進んでいないと思っています…。


しかも「令和●●年●●月●●日までの間、当該基準を満たしているものとみなす。」のような経過措置がないため、診療録管理体制加算1を算定した年には少なくとも1回は訓練を行った実績が必要になります。

 

それだけ、国が病院に対してサイバー攻撃対策を急がせてるということか。

 

そういうことになりますね。

 

オンライン資格確認や電子処方箋の導入が評価

オンライン資格確認(オン資)は去年4月に義務化されましたが、電子処方箋は義務化されておらず、利用率は未だ低迷しています。今年秋に予定されている保険証廃止の動きも見据えて、電子化に取り組む病院を評価するということですね。

電子処方箋の発行体制を評価する「医療DX推進体制整備加算」、モバイル端末を使った在宅でのオン資を評価する「在宅医療DX情報活用加算」、同じく訪問看護向けの「訪問看護医療DX情報活用加算」が新たに設けられました。例えば「医療DX推進体制整備加算」の算定要件と施設基準は次のようになっています。

 

[算定要件]
医療 DX 推進に係る体制として別に厚生労働大臣が定める施設基準を満たす保険医療機関を受診した患者に対して初診を行った場合は、医療 DX 推進体制整備加算として、月●回に限り●●点を所定点数に加算する。この場合において、区分番号●●に掲げる在宅医療 DX 情報活用加算又は区分番号●●に掲げる訪問看護医療 DX 情報活用加算は同一月においては、別に算定できない。

 

[施設基準]
(1)療養の給付及び公費負担医療に関する費用の請求に関する命令(昭和 51 年厚生省令第 36 号)第1条に規定する電子情報処理組織の使用による請求を行っていること。
(2)健康保険法第3条第 13 項に規定する電子資格確認を行う体制を有していること。
(3)医師が、電子資格確認を利用して取得した診療情報を、診療を行う診察室、手術室又は処置室等において、閲覧又は活用できる体制を有していること。
(4)電磁的記録をもって作成された処方箋を発行する体制を有していること。
(5)電子カルテ情報共有サービスを活用できる体制を有していること。
(6)マイナンバーカードの健康保険証利用について、実績を一定程度有していること。
(7)医療 DX 推進の体制に関する事項及び質の高い診療を実施するための十分な情報を取得し、及び活用して診療を行うことについて、当該保険医療機関の見やすい場所に掲示していること。
(8)(7)の掲示事項について、原則として、ウェブサイトに掲載していること。
(9)現行の医療情報・システム基盤整備体制充実加算と同様に、B001-2に掲げる小児科外来診療料、B001-2-7に掲げる外来リハビリテーション診療料、B001-2-8に掲げる外来放射線照射診療料、B001-2-11 に掲げる小児かかりつけ診療料及びB001-2-12 に掲げる外来腫瘍化学療法診療料において、包括範囲外とする。

 

[経過措置]
(1)令和●●年●●月●●日までの間に限り、(4)の基準に該当するものとみなす。
(2)令和●●年●●月●●日までの間に限り、(5)の基準に該当するものとみなす。
(3)(6)の基準については、令和●●年●●月●●日から適用する。
(4)令和●●年●●月●●日までの間に限り、(8)の基準に該当するものとみなす。

 

電子処方箋の要件については経過措置(1)のとおり、猶予があります。医療機関における電子処方箋の導入割合は6%らしいので、これを要件化するにはあまりにも時期尚早ということでしょう。また、施設基準(6)にあるマイナ保険証の利用実績についても経過措置があります。どれくらいの猶予があるのかが気になりますね。

 

今月半ばには黒丸が消えているはずですので、関連するところは注視していきたいと思います。

 

 

 最後に

当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。

 

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