病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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医療情報技師が注目する、2022年8月のニュース

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病院のSEとして10年以上働いている白狐(しろぎつね)です。

 

9月に入り、本州では残暑が続いている頃かと思いますが、北海道ではすでに秋が顔を見せています。北海道の秋は「涼しい」というよりも「寒い」に近く、夏からの急激な温度変化に身体を追いつかせるのが大変です。日が落ちるのも早くなり、そろそろ冬が来るんだな・・・と意識し始める時期。

 

冬なんてまだ先だろ~と思われるでしょうが、北海道は冬が長いのです。9月になると寒さを感じ始め、11月には初雪を観測し、3月まで雪が残ります。雪が降る期間だけでも約5ヶ月、つまり半年近くもあるわけで、過ごしやすい時期である春や秋は道民にとって待ち遠しい季節となっています。

 

夏が去っていくのは寂しいなー・・・

 

さて、今回は8月のニュースを取り上げていきます。8月はインパクトのあるニュースが続いた月でした。

 

目次

 

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「マイナ保険証」を持つ方が割安となる仕組みに 従来のものは費用引き上げ

news.livedoor.com

 

従来の健康保険証に代わってマイナンバーカードを用いる「マイナ保険証」に係る診療報酬点数が令和4年10月に改定されることになりました。現行制度ではマイナ保険証を利用することで保険点数が上乗せされるため、被保険者にとってはかえって負担が増える仕組みになっており批判されていましたが、これが是正される形です。

 

とはいっても実はこの話、関係するのはマイナ保険証に対応した医療機関だけ。非対応の医療機関を受診する場合には影響しません。

 

大雑把に説明すると、マイナ保険証に対応した医療機関にかかった場合、①マイナ保険証を持っていれば2点、②持っていなければ4点、が加算されます。①<② なので、マイナ保険証を持っている方が安く済むという理屈です。

ではマイナ保険証に対応していない医療機関にかかった場合(③)はどうなるかというと、点数は加算されません。つまり、患者にとってはマイナ保険証非対応の医療機関を受診するのが一番安く済む、という話になってしまいます。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000974975.pdf

 

しかしもちろん、厚労省も黙って指を咥えているわけではありません。パターン③をなくすため、マイナ保険証の導入を令和5年4月から原則義務化する方針へと舵を切りました。

 

オンライン資格確認は、患者の医療情報を有効に活用して、安心・安全でより良い医療を提供していくための医療 DX の基盤となるものであることを踏まえ、保険医療機関・保険薬局に、令和5年4月からその導入を原則として義務付ける。 

 

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000974974.pdf

 

当ブログでも以前からお伝えしていたように、厚労省はもともと全医療機関において令和5年3月までにマイナ保険証を導入する計画を進めていました。なかなか普及が進まないとはいえ、ここに来て制度を義務化するのはかなりの急ハンドルに思えます。

 

▼厚労省の鼻息の荒さからして、いずれは義務化されるのではないか・・・と踏んではいましたが、まさかこんなに早く来るとは予想外でした。こちらの記事では、4月時点での全国の医療機関の対応状況をまとめていますのでご参考ください。

whitefox21.hatenablog.com

 

わずか半年の間に、システムベンダーやオンライン資格確認業者との日程調整、システム改修、カードリーダーやルータ等機器の調達、回線工事、運用テストなどをやり切らなくてはなりません。医療機関だけではなく、申し込みが殺到するベンダーからも悲鳴が聞こえそうです。

「マイナ保険証はそのうち対応すればいいでしょ」くらいに考えていた医療機関にとっては寝耳に水で、3月まではこの対応業務に追われそうな気がします。

 

厚労省の資料によれば、7月末時点でオンライン資格確認システムを運用している施設は全国の26%。相変わらず低調なわけですが、これを半年間で100%に近づけようとしているわけですから、かなり無茶している感があります・・・。

 

https://www.mhlw.go.jp/content/12404000/000974977.pdf

 

はたして、4月時点でどれだけの医療機関がマイナ保険証に対応しているのでしょうか? 注視する必要があると言えます。

 

▼オンライン資格確認システムの導入作業は結構煩雑。医療機関が主体となって動かなければならず、ベンダーに丸投げして「あとはよろしく」という訳にはいかないものです。「マイナ保険証の導入ってなにすればいいの?」という方は、こちらをご覧頂ければと思います。

whitefox21.hatenablog.com

 

参考資料はこちら中央社会保険医療協議会 総会(第527回)議事次第

https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000212500_00159.html


■NEWS 医療DXの推進で「医療情報・システム基盤整備体制充実加算」を新設―10月改定|Web医事新報|日本医事新報社

https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=20205


オンライン資格確認等システム、来年(2023年)4月からの原則義務化に向け「一刻も早い対応」が必須—厚労省・三師会 | GemMed | データが拓く新時代医療

https://gemmed.ghc-j.com/?p=49646

 

「そうだったのか、電子処方箋」

 

www.iryohokenjyoho-portalsite.jp

 

オンライン資格確認システムに絡む話で、厚労省は電子処方箋の制度についても準備を進めています。こちらは最近になって厚労省ホームページに専用サイトが開設され、情報が掲載され始めました。

 

ざっくり説明すると、電子処方箋とはオンライン資格確認システムを使って処方箋を送受信する仕組みです。調剤薬局で薬を受け取る場合、これまでは患者が紙の処方箋を持参していましたが、これにかわり、病院が調剤薬局へオンラインで直接処方箋を送ることになります。

 

▼厚労省による説明会動画がYouTubeで公開されています。一度は観ておくことをおすすめします!

youtu.be

 

紙の処方箋では印鑑の押印により医師の証明を担保していましたが、電子処方箋ではHPKIカード(医師であることを電子的に証明するカード)に取って代わります。オンライン資格確認システムが導入されていれば下地は整っているので、あとは電子カルテが処方データを吐き出したり、調剤システムがそれらを取り込んだりする改修を行うことで実現する形になります。

 

HPKIカードは医師本人に取得してもらわなければならないため、事務方だけで導入準備が進められるマイナ保険証とは違い、そこがハードルかな・・・と考えています。

 

上記サイトでは9月から、電子処方箋の準備に関する情報が掲載されるようです。続報が出てき次第、詳細を追いたいと思います。

 

▼役所で書類の押印が廃止されてからデジタル署名の導入が進むかと思われましたが、病院ではあまり進んでいない印象です。病院にとって押印廃止による最大の問題は処方箋ですから、これが電子化されれば、院内書類の電子化も進むかもしれませんね。

whitefox21.hatenablog.com

 

指定難病患者の個人情報5640人分が流出、データ提供時に削除し忘れる

 

xtech.nikkei.com

 

最後は、またか・・・と思わされる個人情報流出事件。厚労省が、研究用に外部へ渡した指定難病患者のデータに、消すはずの個人情報が含まれていたことを公表しました。データ提供時に個人情報にかかる部分を削除し忘れる、という典型的なケアレスミスのパターン。

 

先日USBメモリを紛失した尼崎市の件でもそうでしたが、個人情報の流出はヒューマンエラーによるものが多いなと思わされます。いくらコンピュータウイルスを警戒してセキュリティを強固にしても、脇が甘ければこうした軽率なミスによっていとも簡単に情報が漏洩してしまうわけです。

 

データを取り扱う職員本人のITリテラシー向上は当然として、業務を外部委託している場合は作業内容を監査したり報告書を求めたりして、チェックシステムが形骸化しないように努める必要があります。至極当たり前のことですが、当たり前のことが出来ていないために起こった事件であることを踏まえ、あらためて兜の緒を締めなければ、と思わされたニュースでした。

 

【番外編】デロリアン、40年ぶり復活 米SF映画の車がEVに

 

www.sankei.com

 

たまには、エンタメ系のネタも。

 

世代がバレるでしょうが、バック・トゥ・ザ・フューチャーに登場したデロリアンがEVとして40年ぶりに復活するというニュースが飛び込んできました。何という胸熱な展開でしょうか。デロリアンの象徴であるガルウィングドアを継承し、テスラ車のような近未来的なデザインに仕上がっています。

 

引用元:

デロリアン、40年ぶり復活 米SF映画の車がEVに - 産経ニュース

 

見た目が本当にテスラ車っぽいというか、デロリアンという名のテスラ車みたくなってしまったのは、最近のEVにありがちなデザインに埋もれたような気がして個人的には少し残念。今見ても1985年当時のデロリアンは未来を感じさせるデザインですし、特徴的なヘッドライトとか、今ではちょっとダサく感じるポイントを個性として残せばよかったのになぁ・・・と思いました。

 

最近の車は、フルモデルチェンジすると見た目がまるっきり変わってしまって(まさに最近発表されたクラウンなど)、個性が潰れてしまっている感があります。特にマツダ車なんかは欧州車のような流線型のデザインでカッコいいと思うのですが、いっぽうでクルマ一台一台の個性がなく、違うのは大きさや用途だけ・・・。

そうしないと売れないから仕方ないのでしょうが、フォード・マスタングやダッジ・チャレンジャーのように、ひと目見てそのクルマだと分かるような、初代から受け継がれるDNAを大事にするデザインはなくなってしまうのかなぁ・・・と寂しく思うのでした。

 

▼初代マスタングと7代目マスタング

引用元:

フォード・マスタング - Wikipedia

 

▼初代チャレンジャーと3代目チャレンジャー

引用元:

ダッジ・チャレンジャー - Wikipedia

 

こうして新旧を並べてみると、初代の特徴をうまく残しながらも、古さを感じさせずに近代化させていく、メーカーの卓越したデザイン力に驚かされます。

 

っていうか初代って今見てもイカしてるよね。

 

乗る機会なんて一生ないだろうけど、一度生で見てみたいですね~!

 

 

以上、2022年8月に報道されたニュースの中から、医療情報技師として気になったものを紹介しました。

 

ひとまず医療情報技師としての目下の仕事は、令和5年3月までにマイナ保険証に対応させることでしょう。残り時間は少ないですが、診療報酬が改定される以上、義務化を免れることは出来ません。全国での導入状況については、このブログで折を見て触れていく予定です。

 

 

 最後に

当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。

 

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