病院内SEとして働いていると、ヘルプデスクとして呼ばれてパソコンのトラブルをササッと解決できたときに「どうしてそんなすぐに(問題が)わかるの?」「どうやって勉強したの?」と聞かれることがよくあります。自分としてはたいしたことはしていないのですが、素人からすると「散々悩んで分からなかったことが瞬時に分かる」=「プロ」という認識になり、さすがだね、と思ってもらえるようです。
私は情報処理の大学を卒業しましたが、座学で教わるものはプログラミングやTCP/IP通信の仕組みといった教科書的に教えられるものだけで、いまの実務に役立ったことは正直あまりありません(大学を否定しているわけではなく、あくまで私の仕事に照らし合わせた場合にです)。
こうしたスキルというのは、遊びながら身に着けるのが近道だと思っています。あまりこんなネタが語られることもないと思いますので、病院内SEとして働く者がどうスキルを身に着けてきたか、について振り返ってみます。
中学時代
今となっては懐かしいワープロを親が持っていました(もはや死語ですかね?)。私は文章を書くのが好きでしたので、オリジナルの小説をワープロで打って楽しんでいるうちに、ブラインドタッチができるようになっていきました。
そもそもどうキーを打てばいいのかわからなかったので、本で調べるとホームポジションというものがあり、指の動かし方に型があることがわかったので、我流ではなく型を意識したタイピングをしていた記憶があります。
▼今ではレトロなシロモノになりましたね。
高校時代
高校生の頃に親がパソコンを購入したので、道具がワープロからパソコンに変わりました。パソコンで小説を書いているうちに、文書作成以外にもゲームやはがき印刷といったいろんな作業ができることを知り、どんなことができるのか知りたくて一日中触っていました。
▼当時はこんな感じのPCです。いかにも「パソコン」という見栄えですね。
https://time-space.kddi.com/digicul-column/suguyaru/20151221/
当時はインターネットが電話と回線と共有するナローバンドの時代(ピー・・・ヒョロロロ・・・という電子音、分かる人には分かりますね)でしたので、ネットを見るなんてことはあまりなく、標準でインストールされているソフトウェアを起動しては動かしてみて、説明書をろくに読みもせずいじっていたと思います。「なにができるんだろう」という好奇心がそうさせていましたね。
次第にパソコンが「三度の飯より好き」になるなか、IT企業が続々と現れ脚光を浴びる時代になっていたので、なんとなく自分も将来はそうした仕事がしたいと思い、情報処理系の大学へ進学することを決めました。
大学時代
大学生になって初めてプログラミングを習い、難しい課題に日々追われていました。そんななかで、趣味で中古のノートパソコンにVine LinuxやFedoraなどのLinuxをインストールしてはファイルサーバやプリンタサーバを構築し、大学からアクセスしたりして遊んでいました。特にリモートアクセスが必要だったわけではなく、そうした環境を構築する技術自体に興味があったんですね。
▼こんなデザインの富士通製ノートPCを使っていました。懐かしや・・・。
またパソコンの自作も何台かやりました。ケース、CPU、メモリ、ハードディスクなどの部品をネットショップで買い、好きなスペックで組み立ててはゲームで遊んでいました。かなりのゲーム好きでしたので、お金がないなかでどうやってスペックを上げるか、満足のいくグラフィックでプレイできるかに腐心していたと思います。
また音楽をMP3でパソコンに保存し、外部スピーカーに接続して高音質で聞くといったことも始めました。データをバックアップするつもりが間違えて消してしまったとか、そういう痛い失敗も多くしました。
こういうことを誰から言われるでもなく、ただ興味本位で気の済むまでやっていたわけですが、成果を求められない「遊び」が、好奇心をそそり、探究心を突き動かしていたと思います。
社会人時代
社会人になってからは仕事が忙しく、パソコンで遊ぶことは少なくなっていきました。サーバを組んだりホームページを立てたりといった労力をかけることが煩わしくなってしまい、遊び心が消えていきました。仕事に関する知識以外を吸収する余力がなくなっていたんですね。
思えばいまの実務に活きている知識は、学生時代に培ったものがほとんどです。Windowsはバージョンが上がれば機能もインタフェースも変わりますが、OSが動作する根幹の仕組みは変わりませんので、最先端の知識がなくてもさほど対処に困ることはありません。
成果を求められる状況下では、成果を上げることが主目的になってしまい、それ以外の部分に触れよう、知ろうとする余力がなくなりがちです。遊びのなかで、損得に関係なくあれこれ試してみて、たまには痛い目も見ながら「こうすれば失敗するんだな」というパターンを覚えていくうちに、スキルは身に着いていくものだと思います。
そもそもパソコンのトラブルにお決まりのパターンはないので、どこにどんな問題が起きているのかを想像したり予測したりして、知識と経験をもとに対処するのが仕事なわけですから、マニュアル的に対応しようとしても無理があります。病院内SEの仕事に興味がある方は、そんな遊び心を大事にして欲しいと思います。
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