今月はさまざまな法律が施行される月ですね。「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(通称:女性活躍推進法)等の一部を改正する法律」が2020年6月に施行となりました。どんな法律なのか取り上げてみます。
働く女性へのハラスメントを防止する法律
平たく言うと、「働く女性へのハラスメントを防止する法律」となります。女性が働き手として社会で活躍していく上で、問題となっているのがセクハラ・パワハラといったハラスメントです。
2019年の総労働力人口における女性比率は44.5%で、共働きが当たり前の時代になっています。そんななか、職場でのいじめや嫌がらせについての相談件数が2018年では80,000件を超え、セクハラに関しても年間7,000件寄せられているとのこと(出典は厚労省広報誌「厚生労働」より)。
労働人口の減少に歯止めが効かないなか、有力な働き手である女性に対するハラスメントを放置することは活躍の場を奪うことになり、国家としても成長の妨げとなります。そこで働きやすい就業環境の整備を目的とした法改正ということになります。
どう変わり、何をしなければいけないか
今回改正のポイントを「厚生労働」から引用します。
改正のポイントは3つあります。
1つ目は、女性活躍の取り組みの裾野を広げるため、行動計画策定・情報公表の義務の対象事業主の範囲を常用労働者数301人以上から101人以上までに拡大したこと。
2つ目は、女性活躍の状況の見える化を促進するため、301人以上の事業主について情報公表の内容を強化したこと。
3つ目は、取り組みが優良な企業の認定制度の「えるぼし」よりも水準の高い「プラチナえるぼし」認定を設け、行動計画策定の免除や公共調達での上乗せ加点評価などのメリットを付与したことです。
1つ目に「常用労働者数101人以上」とあるので、対象範囲は広いですよね。「行動計画策定・情報公表の義務」とあります。厚労省の資料を読むと、具体的には下記の作業を行うことになります。
改正の概要
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000594316.pdf
- 規定された「基礎項目」について、自院に照らし合わせ状況を把握する
- 把握した状況から、自院の課題を分析する
- 課題解決のため、「計画期間」「1つ以上の数値目標」「取組内容」「取組の実施時期」を盛り込んだ行動計画を作成する
- 外部へ公表する
「基礎項目」とは、「採用した労働者に占める女性労働者の割合(区)」「男女の平均継続勤務年数の差異(区)」「労働者の各月ごとの平均残業時間数等の労働時間の状況」「管理職に占める女性労働者の割合」の4つです。
「301人以上の事業主について情報公表の内容を強化」とありますが、情報公表するデータが広がったようです。具体的には、下記1と2の区分のそれぞれから1項目以上を選択し、2項目以上を公表します。
区分1 女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供
・採用した労働者に占める女性労働者の割合(区)
・男女別の採用における競争倍率(区)
・労働者に占める女性労働者の割合(区)(派)
・係長級にある者に占める女性労働者の割合
・管理職に占める女性労働者の割合
・役員に占める女性の割合
・男女別の職種又は雇用形態の転換実績(区)(派)
・男女別の再雇用又は中途採用の実績
区分2 職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備
・男女の平均継続勤務年数の差異
・10事業年度前及びその前後の事業年度に採用された労働者の男女別の継続雇用割合
・男女別の育児休業取得率(区)
・労働者の一月当たりの平均残業時間
・雇用管理区分ごとの労働者の一月当たりの平均残業時間(区) (派)
・有給休暇取得率
・雇用管理区分ごとの有給休暇取得率(区)
なんだか難しそうな気がしてきますが、イメージがつかなければすでに公表されているものを見るのが早いですね。
公表する場所
どこに公表するのかは、自院のホームページのほか、厚労省管轄のデータベースサイト「女性の活躍・両立支援総合サイト」を選ぶこともできます。このサイトで、公表済みのデータを閲覧することができます。
業種別、人数別、地域別などで検索できますので、どんなものか一度は覗いてみることをオススメします。
自院でクリニカル・インディケーター(病院指標)を公開している場合は、そちらに併載する手もありますね。病院内SEとして関係しそうなのは、「ホームページに掲載したいからよろしく」と言われる可能性がある、くらいでしょうか。
女性活躍推進法の概要や行動計画の申請書式など、より詳しい情報については厚労省のまとめページをご覧ください。
このデータベースサイトはそれほど認知度が高いようには見えませんが、もし女子学生が知っていれば、データが公表されている=女性にとって働きやすい環境が整っている、と映るかもしれません。
病院は一般企業と比べ女性比率の多い職場です。働き手から選ばれる病院であるためには、こうした取り組みも必要な世相ですので大事にしたいところです。
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