病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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厚労省が公立・公的病院の再編議論を延期

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昨年9月に、再編・統合を議論すべき公立・公的病院のリストを厚生労働省が前触れ無く公表し、医療機関から激しく反発されたことは記憶に新しいですよね。藪から棒のニュースに私も仰天しました。

 

www.nikkei.com

 

ところが新型コロナウイルスの蔓延で地域病院の存在意義が見直され、厚労省は見直しの議論を延期すると発表しました。医療機器やベッドが足りず患者の収容先がない事態に直面し、医療崩壊まで叫ばれた今般ですから、病院は「いざというときのためになくてはならない」として広く国民に再認識されたはずです。

 

www.cbnews.jp

 

地域の事情を熟慮した議論を

先日放送終了した実話ドラマ「病院の治しかた」のなかで、有原病院に融資している銀行の頭取が「病院は住民が安心してその街に暮らし、子どもを育て、老いていくために欠かせない存在である」と言っていました。言われてみれば当たり前なことではありますが、採算性ばかり考えているとこの発想が抜け落ちることがあります。営利団体ではないため、病院職員の自助努力だけでなく公的支援が必要なことも事実です。

 

たしかに病院は今や「医療だけをしていれば良い」わけではなく、診療報酬を睨んで採算の取れる経営をしていかなければ潰れる時代です。しかし収益だけを見ていれば、収益に乏しい地方は淘汰され、ますます都市部への一極集中と地域格差が進むばかり。特に北海道は広大な土地の割に人口が少ないため、公立・公的病院がなくなればますます医療サービスが受けられなくなります。いち医療機関がカバーする圏域が広いことから、ドクターヘリなどを活用しているところもあるくらいです。

 

災いが自分の身に降りかからないと実感できない

病院は怪我や病気をしなければ縁がない場所ですので、健康体でいるとなかなかその存在意義を実感できないものです。家族が交通事故に遭ったり、脳梗塞で急に倒れたり・・・そうした事態に遭遇したとき初めて「近くに病院があって良かった」と思えます。もし病院がなければ措置が遅れ、救えたはずの命が救えなくなることだってあります。いざそうした災が自分の身に降りかかったとき「病院がない地域に住んでいるのだから仕方ない」と割り切れるでしょうか・・・? だからこそ、公立・公的な病院が存在する意味があるわけです。

「家族の身に何かあっても病院があるから大丈夫」と思えてこそ、安心して毎日を過ごせるはずです。

 

医療サービスのあり方が変わる?

このコロナ禍で通院を止めたり、受診回数を減らしたりした方が多くいらっしゃいます。先日の医療情報学会の演題でも、「病院に行きたがると言われる高齢者ほど、受診を控えた」と某クリニックの先生が仰っていました。コンビニ感覚で受診する方がいるのも実態ですから、年々膨れ上がる医療費を削減するためにも見直しの議論自体はされるべきと思います。

病院へ行けばかえって病気をもらってくるリスクもある、という見方がコロナ禍で広まりましたので、「風邪を引いたらとにかく病院へ」ではなく、例えばオンライン診療で一次的に相談し、来院すべきかどうかはそこで診断してもらう、といった形が医療サービスのひとつのあり方として検討されるかもしれませんね。

 

時間と距離の制約にはやはりオンライン化

北海道のような医療格差のある地域こそ、オンライン化に意味があると思います。オンライン診療では患者から得られる情報が少なく、聴診・触診などができないことから医師の反対意見も多いと聞きますが、定期の薬処方など特定の範囲内だけでも導入すれば、「3時間待ち・3分診察」といった待ち時間の対策にもつながるはずです。

 

と同時に、患者が使いやすい受診ツールも用意する必要があります。特に高齢者はスマホタブレットもすぐには使いこなせません。ここは、以前当ブログでも触れたLINEの医療サービス参入が気になるところです。使い慣れている、あるいは広く普及しているアプリを通じて医療を受けることができれば、オンライン化に弾みがつくでしょう。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

病院はいま、統合・再編やオンライン化など変革期を迎えています。医療情報技師・病院内SEとして、こうした流れをしっかり押さえておきたいですね。

 

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