新型コロナウイルスで混乱が深まる中、令和2年度(2020年度)診療報酬改定の疑義解釈資料が出始めましたね。厚労省の診療報酬改定ページでは日々通知や事務連絡が掲載され、淡々と事務作業がこなされています(本当、お疲れ様です・・・)。
早速、医療情報技師の目線で内容を見てみたいと思います。
確認する資料はこちらです。
疑義解釈資料の送付について(その1)
なお診療報酬改定に関しては過去記事も併せてご覧頂ければと思います。
夜間看護体制加算、看護職員夜間配置加算におけるICT、AI、IoT等の活用
問 14 「夜間における看護業務の負担軽減に資する業務管理等に関する項目」のうち、「ICT、AI、IoT等の活用によって、看護要員の業務負担軽減を行っていること」について、① 具体的にはどのようなものを活用することが想定されるか。
(答)① 看護記録の音声入力、AIを活用したリスクアセスメント、ウェアラブルセンサ等を用いたバイタルサインの自動入力等が例として挙げられる。単にナースコール、心電図又は SpO2 モニター、電子カルテ等を用いていること等は該当しない。
(上記資料より引用)
単に電子機器や通信機器を使っているだけでは認められず、実際に入力作業の省力化・自動化に結びつくシステムが要件の対象ということでしょう。
音声入力に関しては私も現場から過去に何度も導入を要請されたのですが、現在世に出ている音声認識ソフトは私の知る限り文字起こしの精度がまだ実用レベルとは言えず、提案できていません(どなたか、良いソフトがあればご教示下さい)。あのアップルのSiriですら変換がおぼつかないですし、Googleは他社に比べ抜きん出ている印象があるものの発展途上と見受けられます。音声認識後、結局手作業で誤変換を打ち直さなければならない手間を考えると、医療機関向けに作られた高額なシステムを導入するまでには踏み切れません。
当院では電子カルテのIMEにATOKを採用し医学用語辞典も入れていますが、「専門用語がすぐに出てこない」「文節変換がおかしい」といった問い合わせが未だに来ます。迅速さが求められる医療現場において正確性は重要ですから、文字変換すらこうした具合では音声入力を導入するのは難しいなというのが率直な感想です。
AIを用いたリスクアセスメント・・・ってこの類のソフトは市販されているのでしょうか? 聞いたことがないので、あればどんなソフトなのか拝見したいです。
ウェアラブルセンサを用いたバイタルの自動入力も先進技術ですね。例えば腕に巻いたデバイスで心拍数を測り電子カルテに無線で飛ばす、といった仕掛けでしょう。これはICT化が進んだ医療機関ならば導入していそうです。
レセプトのオンライン化やカルテの電子化などが浸透してきたことを鑑み、厚労省のICT活用計画が次のフェーズに入ったような気がします。
外来栄養食事指導料はメールでは算定不可
問 67 区分番号「B001」の「9」外来栄養食事指導料の注3の電話又は情報通信機器等を使用した場合の栄養食事指導について、メールを使用した場合も算定が可能か。
(答)メールのみを使用した指導では算定できない。なお、必要な資料等をメールで送付することは差し支えない。
(上記資料より抜粋)
やはり肉声を介さなければいけないということですね。メールならば電話に比べ時間を気にせずにやり取りできるので効率は良いと思いますが、文面でうまく伝わらなかった場合にメールのラリーになって患者の負担になりかねないですからね。やはり口頭で会話するのが一番かと私も思います。
疑義解釈はこれからまだまだ出てくるので、その都度記事にしていく予定です。
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