2年に1度行われる診療報酬改定。令和2年度はその改定年に当たり、昨年末から中医協(中央社会保険医療協議会)のホームページで資料がアップされ始めました。各医療機関では改定内容の読み込みに精を出されていることと思います。
ざっと目を通してみたので、医療情報技師的に気になる項目をチェックしてみます。
ちなみに「診療報酬ってなに?」という方は、下記記事をご参考下さい。
I-4-② 情報通信機器を用いたカンファレンス等の推進
第2 具体的な内容
情報通信機器を用いたカンファレンス等について、やむを得ない事情により対面で参加できない場合でなくても実施可能となるよう、要件を見直す。
また、情報通信機器を用いた退院時共同指導について、医療資源の少ない地域でなくても実施可能となるよう、要件を見直す。
(中央社会保険医療協議会 総会(第448回) 議事次第 個別改定項目(その1)について より引用)
「ビデオ通話を使って会議しても算定要件として認めますよ」という緩和ですね。今までは、加算を取るのに「やむを得ない場合に」ビデオ通話を認めていたので、積極利用するところが出てくるかもしれません。
便利なビデオ通話ですが、実際に導入することを考えると意外に厄介です。自宅から参加する場合は個人のPCやスマホから? それはBYOD(Bring Your Own Device:個人端末の業務利用)に相当するがセキュリティ対策は十分か? 専用のシステムを入れる必要があるだろうか? など心配の種は尽きません。
スマホで何でも出来る時代なので、「そんな難しく考えなくたっていいじゃん」という意見も聞こえてきそうですが、病院にとって個人情報の保護は最もデリケートな問題。一筋縄ではいかないだろうなというのが正直な感想です。
とは言っても診療報酬に明記されたことは、利用促進の後押しとなることに違いないでしょう。
I-4-③ 外来栄養食事指導(情報通信機器の活用)の見直し
第2 具体的な内容
外来栄養食事指導料における、2回目以降の栄養食事指導について情報通信機器を用いて行う指導を評価する。
(中央社会保険医療協議会 総会(第448回) 議事次第 個別改定項目(その1)について より引用)
「情報通信機器」が至る箇所に盛り込まれており、ITを活用していこうという厚労省の姿勢を感じますね。北海道は都市部とそれ以外との医療格差が広まっており、それに輪をかけて厚労省の無慈悲な病院再編計画があり、医療圏の広さをどうカバーするのかが急務となっています。
患者への指導や病院の会議において、今まで対面重視だったのがオンラインを許容する流れになっています。セキュリティ面を含めた議論が活性化し、実用化することを願うばかりです。
II-11-② 情報通信機器を用いた診療のより柔軟な活用
第2 具体的な内容
1.へき地、医療資源が少ない地域に属する保険医療機関において、やむを得ない事情により、二次医療圏内の他の保険医療機関の医師が初診からオンライン診療を行う場合について、オンライン診療料が算定可能となるよう見直す。
(中央社会保険医療協議会 総会(第448回) 議事次第 個別改定項目(その1)について より引用)
オンライン診療料の注2により、原則初診料等を算定する月は算定できませんが、へき地等の場合には例外として算定を認めるということですね。
IV-7-④ 超音波検査の評価(要件)の見直し
第2 具体的な内容
超音波検査について画像を診療録に添付し、かつ、当該検査で得られた所見等を報告書又は診療録へ記載した場合に算定できることとする。
(中央社会保険医療協議会 総会(第448回) 議事次第 個別改定項目(その1)について より引用)
「画像を診療録に添付すること」が要件となりました。PACSを入れているところでは、PACSを起動してエコーを確認しているので、ひと手間増えることになりますね。一般的な検査なので対象となる医療機関は多そうです。
「自動的に電子カルテに貼り付けられるようにできない?」などと言われかねませんね・・・。クリップボード機能を備えているPACSならコピペで済みますが、そうでないPACSやエコー画像を紙管理しているところは余計な業務が増えそうです(笑)。
なおWindows10で簡単に画面をコピーする方法についてこちらの記事で解説しました。
以上、医療情報技師としてシステム的観点で今回の改定内容を見てみました。点数はこれから決まるので、中医協の動きから目が話せません。
記事テーマの参考にさせて頂きますので、面白かったと思ったらクリックお願いします。
<2020.4.1更新>
診療報酬改定に関する続編記事を投稿しております。こちらも併せてご覧ください。