医療情報技師資格保有者の就職先としては、大きく2つあると思います。
- 電子カルテや部門システムなどの開発ベンダ
- 病院などの医療機関
開発ベンダとして医療機関向けソリューションを提供するには、現場で求められるニーズを捉え、そこで働く職員の意見を理解する必要があります。「CTRを測るにはどうしたらいい?」「診療報酬が改定されたのに改定後の点数が算定されない」などといった質問に答えていかなければなりません。
当院に出入りしているベンダにおいても、新人さんだとこちらの発言内容が理解できず、うちの現場職から「そんなことも知らないの!?」と叱責を受けている場面もしばしば見かけます。情報処理と医学の両方の知識が学べる医療情報技師は、そんなベンダの方たちにも有益な資格と言えます。
私は病院勤務ですので、今回は病院の情シス勤務の医療情報技師に求められるスキルと向いている人について考えます。
求められるスキル
- 相手の理解度に合わせて物事を説明できる
- 不測の事態に対し臨機応変に対応できる
- PC全般に関して幅広い知識を持っている
以下、順に解説します。
1,自分以外の病院職員はPC初心者が多いです。情シスあるあるネタですが、「画面が真っ暗で何も見えない!」と激怒され駆けつけたらコードが抜けていた、なんてことが日常茶飯事。我々からすれば初歩的でも、わからない人にとっては気づけないものなのです。
PCの操作説明をする際にも、「マウスのスクロール」「Excel関数」といった言葉すら通じない相手の理解度に合わせて説明しなければなりません。またヘルプデスクやコールセンターのスタッフのように丁寧な態度で臨まなければ、相手の怒りを買うことになります。
2,不測の事態が起きた場合には即時対応が必要です。診察室で電子カルテが使えなくなった、地震で全館停電になった、という場合には優先順位をつけて、何から手を付けるか、次にどうするか判断を下していくことが求められます。障害を切り分け、早急な復旧作業に徹します。
3,これは当然のことではありますがPC全般の幅広い知識も必要です。電子カルテの操作説明やExcelの使い方指南のほか、プリンタやバーコードリーダーが動かなくなったなどというハードウェア関連の問い合わせも来ます。「PCに詳しい人」で括られ、相手にそういう人だと思い込んでいるので、守備範囲を広くしておくことが大切です。
向いている人
- ハードウェア、ソフトウェア関わらずPCが好きな人
- 人との対話が苦にならない人
- 決まった時間で働きたい人
VBAのスキルは就職に有利か?
よく仕事の効率向上テクニックとしてExcelのVBAが取り上げられます。VBAが組めると反復する手作業を一瞬で終わらせることもできますし、「Excel職人」と称されるような、関数やVBAでガチガチに固めたExcelを作ることを得意とする人たちもいます。VBAのプログラミングは求人に応募する上で有利なのでしょうか。
決め手とまでは言えない
結論から言ってしまうと、VBAが採用の決め手になるとまでは正直言えないと思います。Excelに長けているに越したことはないですが、それはSEとして備わっていてほしいスキルであり、それよりも院内SEとしては「現場の意見をシステムに反映する」「相手の能力に合わせて説明できる」といったコミュニケーション能力が重宝されるからです。
実はExcelに詳しい人も多い
今の病院に勤めて意外だったのは、実は医療従事者の中(特に医師や放射線技師)にはPCに詳しい人、中にはVBAが組める人もいるということです。Filemakerを使って書類作成をする医師もいます。放射線技師の仕事には機械操作が多いためか、結構PCには詳しいです。
「Officeをバージョンアップしたら、前任者が作ったVBAが動かなくなったので見てほしい」と相談されたときには、完成度の高い作り込みに驚かされたものです。
スキルの一つとしてアピールするのはアリ
例えば「採用されたらどんなことがしたいか」という質問に対して「これまでに培ったVBAなどのプログラミングを活かして稼働時間の削減を提案したい」といった具合に、目標達成の手段としてアピールする分にはアリだと思います。
自ら目標を決めて主体的に動く人材はどの組織でも評価されますから、実現手法の一つとしてさりげなくアピールするとよいでしょう。
「病院の情シスってどうなの?」と思っている方は、下記記事もどうぞ。
最後に
当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。
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