病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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契約書の電子化はまだ早い? 法律は今こうなっている

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こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
管理人の白狐(しろぎつね)です。

 

2021年6月9日に開かれた参議院本会議にて、悪質商法への規制強化を盛り込んだ改正特定商取引法と改正預託法が可決されました。1年以内に施行される見通しとなっています。

 

「無料だと思って申し込んだら、高額の定額購入を契約させられた」というような、通販で最近問題になっていた不正契約を厳しく罰する内容がメインでしたが、改正案には契約の電子化も規定されていました。

ところが、これは悪質商法の被害を拡大させるとして反対され、「条件付き」で認められる形になりました。

 

デジタルトランスフォーメーションが社会全体で進められている今、経済活動に欠かせない契約書の電子化については病院にとっても注目に値する動向ですので、今回はこの法改正について見ていきます。

 

 

目次

 

契約には「書面の交付」が義務


特定商取引法は、その名の通り「特定の商取引」について適用される法律です(正直、病院にはあまり関係しません)訪問販売や通信販などで契約を結ぶ際のルールを定めたものです。

 

特定商取引法は、事業者による違法・悪質な勧誘行為等を防止し、消費者の利益を守ることを目的とする法律です。 具体的には、訪問販売や通信販売等の消費者トラブルを生じやすい取引類型を対象に、事業者が守るべきルールと、クーリング・オフ等の消費者を守るルール等を定めています。

 

引用元:https://www.no-trouble.caa.go.jp/what/


これらの販売を行う際には、消費者保護の観点から、契約内容を書面にて交付する義務が課せられています。

 

それもそのはずですね。書面の資料もなしに口頭でのみ説明され、口約束を言質にして契約させられてはたまったものではありません。民法では口約束が成立しますが、これらの取引では認められません。


書面があれば、裁判沙汰になってもそれを証拠に戦うことができます。だれかに契約内容を読んでもらい、違法な契約になっていないか確認してもらうことも可能です。一方的な契約にならないように交付が義務付けされているわけですね。

 

電磁的な方法での契約提示は条件付き


今回の法改正により、書面の交付に加えて「電磁的な方法で提供すること」も認められましたが、附帯決議により次の条件が付け加えられています。

 

書面交付の電子化に関する消費者の承諾の要件を政省令等により定めるに当たっては、消費者が承諾の意義・効果を理解した上で真意に基づく明示的な意思表明を行う場合に限定されることを確保するため、事業者が消費者から承諾を取る際に、電磁的方法で提供されるものが契約内容を記した重要なものであることや契約書面等を受け取った時点がクーリング・オフの起算点となることを書面等により明示的に示すなど、書面交付義務が持つ消費者保護機能が確保されるよう慎重な要件設定を行うこと。


引用元:https://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/204/f432_060413.pdf

 

一行にこれだけの文字数が詰め込まれていて長ったらしいですが、要するに「電子契約をする場合は、それが契約書に当たるものだということを書面でちゃんと説明してね」という解釈になろうかと思います。


今までは書面を渡すだけで済んだものが、電磁的な方法の場合は「これが契約書に当たるものですよ」とわざわざ書面で説明しなければならないわけで、手間がひとつ増える形です。

 

この説明文にも書いてあるとおり、法律上「書面交付」は「消費者保護機能を持っている」とされます。電磁的な方法ではその保護機能が有効に働かないおそれがあるから、やるときはちゃんと考えてね、ということになります。

 

「なぜわざわざそんなことをする必要があるのか」

「なんだ、結局書面が必要じゃないか」

 

という話です・・・。

 

でも消費者保護の観点で考えたら、必要と言える条件でしょう。

なぜなら、高齢者をはじめPCがよく分からない人には、電子媒体の扱い方が分からず、「契約書」に当たるものだと理解されない可能性が高いからです。

 

知らないうちにメールに契約書のPDFが送りつけられ、それでもって契約内容を説明したことが成立するのなら、PCが分からない人(特に高齢者)にとっては懸念すべき事態です。

 

消費者保護を優先して法律が作られていますから仕方ないとは思いますが、デジタル化とは程遠い法改正に思えます。このあたりの議論は尽くされていないので、今回の審議では条件付きとし、デジタル化の推進は実質先送りにした、といったところではないでしょうか。

 

契約の電子化はまだ早い、というのが個人的な意見

病院での診療行為において、患者と契約書のたぐいを取り交わすことは滅多にありません。しかし、入院診療計画書や同意書など書面を交付する機会が多々ありますので、消費者保護を目的とする特定商取引法のルールは、患者保護を考えなければならない病院にとっても参考にすべき点が多いと言えます。


私はもともとIT業界で働いていた身ですので、あらゆる紙媒体を電子化して効率化することには賛成ですし、社会全体もそうなってほしいと思っています。IT企業では社員みんながPCに長けているので、「周りはみんなスマホくらい当たり前に使える」という感覚に陥りがちです。

 

ところが病院職員の立場からすると、高齢者はおろか、中年の方でもスマホやPCが苦手で、キャッシュレス決済すら使いたがらない層も多く存在します。「資料はメールに送りますね」と言っても、「何のことだか意味不明」「とにかく紙でちょうだい」という方がたくさんいるわけです。


書面を渡せば、「これを大事に持っていればいいんだな」と理解してもらえますが、「メールで送る」の意味が理解されなかったら、もはや何から説明すればいいのか途方に暮れますし、「だったら最初から紙で出そうか」となってしまいます。

 

現在行われている新型コロナウイルスワクチンの集団接種においても、インターネットが使えないために予約が取れなかった、という話をよく聞きます。そういう層に対して、電子契約を結ぶというのは到底無理な話です。

 

そうした現場を普段から目にしているだけに、電磁的な方法が浸透するのはまだ先なのかな、と個人的には考えています。

 


ただ、今まで法律で明文化されていなかった電磁的な方法が条件付きで認められたことは、デジタル化に向け一歩前進したことに違いはありません。

特定商取引法に限らず、いろんな契約においてこれから電磁的な方法が広まっていくのか、動向に注視したいと思います。

 

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当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。面白そうだと思っていただけたら、ぜひブラウザにお気に入りの登録をお願いします!

 

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