病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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いよいよ添付文書も電子化が義務に!経過措置や移行期間は?

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こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

管理人の白狐(しろぎつね)です。

 

医療機関には厚生労働省から通達が届いているとおり、2021年8月から医薬品等に同梱されている紙の添付文書が廃止され、原則電子媒体での提供となります。

 

インパクトの大きい話だと思うのですが、先日うちの薬局と話したら「え、そうなの?」なんて顔をされてびっくりしました・・・。

なぜ知らないんだ。情報伝達、どうなってる。という愚痴はさておき。

 

電子化されますので、閲覧するにはスマホタブレットを通して見ることになります。

病院内SEは「紙じゃないと見づらいから何とかして」なんてサラッと言われそうなので、何がどう変わるのか、整理しておきます。

 

 

 

医薬品の添付文書はバーコードで読み取る

これまで、医薬品の梱包箱には紙の添付文書が同梱されていました。

添付文書とは、薬の効能や服用時の注意事項などを記載した、取扱説明書のようなものです。どの医薬品にも必ず存在します。

 

▼こんな文書です。薬局で買えるビオスリー錠なんかにも入っているので、薬剤師でなくても見たことのある人は多いでしょう。

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今年2021年8月からは、紙の添付文書が廃止される代わりに、梱包箱に貼られているバーコードをスマートフォンタブレットのアプリで読み取り、画面上で添付文書を表示させる形になります。

 

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添付文書の電子化について | 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構

(PMDAのサイトより引用)

 

ペーパーレスは個人的には歓迎です。

 

これだけを聞くと「へぇー、ハイテクになるんだねえ」で終わるかもしれませんが、SEとしては懸念材料がワラワラと出てきます。

 

「A4用紙がギッシリ埋まるだけの情報量があるんだから、スマホで表示させても見づらいのでは?」

「薬局の職員に自分のスマホを使わせるのか? 院内のWiFiを使わせるのはどうなのか」

 

当然、こうした疑問が出てきます。

早めに院内でのルールを作る必要がありますね。

 

移行期間は2023年7月31日まで

しかし2021年8月1日を境に、キッパリ変わるわけではありません。

2年の移行期間を経て、完全電子化となります。

 

説明資料によれば、2021年8月1日~2023年7月31日が移行期間となり、この間に順次紙文書の同梱が終わる予定です。

それまでは、経過措置として紙と電子媒体とが並行して提供されます。

 

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http://www.fpmaj.gr.jp/Library/eMC/documents/Leaflet_4P.pdf

日本製薬団体連合会の資料より引用)

 

ちなみに、ビオスリー錠のような消費者が直接買える医薬品については同梱を継続するとのこと。

 

紙で欲しい派を説得できるか?

院内WiFiの利用ルールについては病院によって違うでしょうし、費用が出せるなら画面の大きいタブレットを用意する手もありますので、各医療機関で最適な運用ルールを考えていくことになります。

 

アプリによる閲覧が定着するかどうかは、「紙で欲しい派」を説得できるかが勝負ですね。

 

これだけコンピュータ化が進んでいても、病院で意思決定の権限を持つ層は50代~60代クラス。

デジタルデバイスに理解のある方もかなり増えてはいますが、「使い方がよく分からないから紙で管理したい」という意見も考慮しておかねばなりません。

 

添付文書を使うのは主に薬局でしょうから、そもそもインターネット環境があるかどうかも確認が必要です。なければWiFiを飛ばさなければなりませんし、個人のスマホを使うのであれば4G回線の電波がきちんと入るのか、試しておきましょう。

 

添付文書は個人情報ではないので、私有物を業務で使ってもさほど問題にはならないと思います。しかし院内のWiFiにつなぐとなれば、セキュリティの観点で可否を検討しなくてはなりません。

 

ちなみに、災害などでインターネットが寸断された場合に備え、添付文書の一括ダウンロード機能も提供されます。

※アプリではインターネット経由で添付文書を閲覧するだけで、端末内にデータを持つわけではないようです。

 

定期的に添付文書をダウンロードし、PCに保管するなりプリントアウトするなりして、いつでも見られる状況を整えておく、という使い方が想定されます。

そうなると、「今まで通り紙で見よう」と考える人も出てきそうです。

 

「結局、紙か・・・」という結末も予想されます(笑)。

 

 

ひとまず様子見がおすすめ。システムの完成度にも注目

ここのところ、国が主導する新型コロナワクチンの予約システムやオンライン資格確認システムで、不具合が相次いでいます

 

新型コロナワクチンのシステムは特急でこしらえたものですから、百歩譲ってまだ理解を示せるとしても、オンライン資格確認システムは以前から準備して進められてきた制度のはず。

マイナンバーカードで認証したら別人の保険証番号が照会された・・・なんていう不備は、システム設計や準備段階に根本的な問題を抱えている、と酷評せざるを得ません。

 

▼オンライン資格確認ってなに?という方は、こちらの記事で詳しく説明していますのでぜひ読んでみてくださいね。

 

whitefox21.hatenablog.com

 

院内のルール策定には、いろんな調整作業が入るので一筋縄には行きません。

せっかく時間をかけて体制を変えたのに、不具合が原因でやっぱり元に戻す・・・なんてことは避けたいもの。

 

丸2年の経過措置があるわけですから、ファーストペンギンになる必要もないと思いますので、この間にシステムの完成度を様子見した方が賢明と言えます。

 

 

ただでさえコロナ禍で忙しいわけですから、手戻りのないように添付文書の電子化対応を進めていきましょう。

 

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当ブログでは、病院に勤務するシステムエンジニアの私が、関係法令の改正やパソコンのトラブルシューティングなどをSE目線から紹介しています。面白そうだと思っていただけたら、ぜひブラウザにお気に入りの登録をお願いします!

 

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