こんにちは。当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
管理人の白狐(しろぎつね)です。
私が日々チェックしているTechTargetのサイトで、医療情報技師の役割を的確かつ分かりやすい言葉で解説した記事がアップされました。「医療情報技師」という言葉は出てこないのですが、ITベンダーと医療機関の間を取り持つ立場を「通訳者」と表現しており、現役の身としてもまさしくその言葉通りだと感じます。
TechTargetはIT系のニュースサイトなので、システムエンジニアの方にとって馴染みある言葉で、この「通訳者」の必要性が論じられています。医療情報技師や院内SEに興味のある方には大変参考になる記事ですので、紹介したいと思います。
目次
医療システムに「通訳者」が必要な理由
まず、その記事がこちら。
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医療システムを導入するとき、ITベンダーと医療機関とでプロジェクトチームを立ち上げ、打ち合わせを繰り返しながら進めていくわけですが、ベンダーは自分らが慣れ親しんだ言葉をつい使いがちです。医療情報技師を除く医療従事者はシステムのことは素人であり、中には詳しい人もいますが、「パソコンに詳しい人」のレベルがほとんどで、ベンダーが話す中身を齟齬なく理解できている人はあまりいません。
物事には何でも「表と裏」がありますが、ベンダーの意見を真に理解できる人というのは、「裏」もしっかり見えているということ。ところが、システムが分からない担当者は、「なんとなく」分かったつもりで話を進めてしまうことがあります。
下記記事に大変分かりやすい事例が紹介されているのですが、例えば「クラウド」というサービスの良い面(表面)だけ捉えてしまい、医療機関に合わせた細かいカスタマイズが出来ないなどの悪い面(裏面)が見えていないケースがあるのです。
正直なところ担当者も日々の業務で忙しいので、ベンダーの話をなんとなくでも理解できれば、それで分かったつもりになってしまいがち。「表面は分かったけど、裏面はどうなっているのかな」なんて疑問を持つこともないのです。
こうして双方の「齟齬」が埋まらないままにプロジェクトが進み、導入直前や、下手すればシステムの稼働後に「こんなはずじゃなかった」とトラブルが生じる元となるのです。
この「齟齬を埋める」役割こそが、通訳者になります。
通訳者がすべきことは「齟齬を埋めること」
齟齬を埋めるには、通訳者がプロジェクトチームに参画して、その溝を発見しなければなりません。TechTargetの記事を引用します。
通訳者になるためには、会議のメンバーを観察し、異変に素早く気付く「感性」が求められます。参加者の理解が不十分な状態、頭に「はてな」が浮かんでいるような表情を読み取る力です。メンバーの表情を注意深く観察していると、こうしたシグナルには何らかの法則があることに気付くでしょう。シグナルをキャッチしたならば、勇気を持って会議を中断してでも分からない部分を明確にし、分かるまで話し合う必要があります。
(上記記事より)
会議に参加しているメンバーの表情や発言から、「この人は今の話を理解できていないな」という異変を察知し、「つまりはこういうことでしょうか」「別の言い方をするとこういうことになりますか」などと質問して、メンバーの腹に落ちるよう促すわけです。
システムを使うのは現場の職員なわけですから、当事者がしっかりベンダーの説明を理解できなければなりません。メンバーがどんな疑問を感じているのかは、医療現場を知る医療情報技師であれば「あぁ、たぶんこういうときのシステムの動きについて考えているんだろうな」と察しがつきます。
医療情報技師には、まさしくこの「感性」が必要と言えます。
齟齬を埋めるのに必要な「感性」
医療情報技師は、いわば院内SEです。
SEは技術屋なのに「感性」が必要なのか?
と思った方も多いでしょう。実はその通りなのです。
そこが、院内SEが他のSEに比べ異質な部分とも言えます。
医療情報技師は、「医療とITを融合させる」存在。SEの腕を試されるような難題を経営陣から突き付けられることもあれば、「こんなことから教えなきゃいけないの?」というレベルの内容を懇切丁寧に教えなければいけないこともあります。
医療とITの狭間にある、大小さまざまな境界を地道に縮めていくのが、まさに医療情報技師の仕事。その境界線がどこにあるのか、を探るのに「感性」が必要になってくるわけです。
感性を鍛えるには、とにかく「現場を知る」に尽きます。例えば何らかの課題を解決するときに、エンジニア目線では「こうすればいいじゃん」と思うことが、いざ現場に適用させようとすると無理が生じ、机上の空論になってしまうことが多々あります。
一方的な提案を軽々しく言ってしまうと、「何も分かってない」と批判を浴びかねません。「理論的にはこうすればうまくいくけど現実的には難しいから、こういうやり方にしませんか」といった提案ができれば、医療情報技師としての評価も上がるはずです。
私も医療情報技師として、ITベンダーと医療機関を取り持つ「通訳者」の役割を果たしていきたいと思うばかりです。
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