病院の情シスで働く医療情報技師の奮闘記

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病院に勤める医療情報技師のこれから【病院内SE】

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先日の医療情報学会後、参加者向けに大会についてのアンケートが実施され、その結果が回答者に送付されましたので中身について触れてみたいと思います。

 

なお学会に参加した際の記事はこちら。

whitefox21.hatenablog.com

 

医療情報技師「専属」でない方も多い

「他学会にも属しているか」との問いに、放射線技術学会や薬剤師会など、他職種の学会に所属されている方も多くいらっしゃいました。とするとおそらくそちらが本職で、医療情報技師を兼務されている方もしくは関心のある方ということになります。

私の周りでも、診療情報管理士を兼務しているなど実際に専属でない方がいます。技師職といっても縦割りで境界線を引くことなく、広い見地から医療情報の利活用を推進しようとされているのですね。特に放射線技師はモダリティの管理などでパソコンに触れる機会が多く、当院の技師と話していても素人の域を超えた知識を持っているなと感じます。

 

となれば、私のような専属の医療情報技師は当然ながら「専属であることの意義」が問われてきます。特に今の若い世代はデジタルネイティブで小さい頃からパソコンに慣れているため、少し詳しいくらいでは追いつかれてしまうと思います。

 

専属の役割は

私が考える専属としての意義は、「プログラミング」「ITコンサルティング」「マネジメント」の3つのスキルに集約されると考えています。

 

プログラミングは、パソコンが趣味というだけではなかなか身に着くものではなく、訓練が必要です。医療情報技師の試験で求められる情報処理の知識は高くて「基本情報技術者」並みであり、合格したからといってプログラミングスキルまでは身に着きません。

電子カルテシステムは年々グレードアップしていますが、必ずしも現場のニーズを満たすものではないため、その隔たりを埋めることが必要になります。電子カルテから出力したCSVデータを自動加工して会議資料にまとめたい、毎回の定型業務を自動化したい、といった要望にはVBAなどの知識が活きます。こうしたニーズにプログラミングというツールで応えられるのは大きな強みとなり得ます。

 

次にITコンサルティングとは、院内でIT化を推進するためのコンサル役を担うというものです。例えばオンライン診療を導入するにも、技術面のみならずセキュリティやガバナンスの面からも管理する必要があります。JPKIを使った本人認証機構や不正アクセスログの保全措置といったオンライン診療を行う上での指針を踏まえなければなりませんので、要件を満たしているかどうかを判別できるだけの知識が求められます。

また、AIやRPAを導入したいとなった場合、どんな効果が見込まれ、どんな裏面があるのかを確かな知識で説明できることもひとつの役割でしょう。たとえ経営陣が前のめりになっていても、冷静にメリット・デメリットを分析し、客観的な立場から提案できるのは専属ならではの強みではないでしょうか。

 

最後のマネジメントは、院内のシステム管理のみならず運用ルールの管理を含みます。電子カルテの運用には必ずルールが必要で、各部署で何をどこまでやるのかを決めていかなくてはなりません。その過程で「うちではこの仕事に手が回らないからよその部署でやってくれ」「うちの部署の管轄ではない」などと反発を受けることもありますが、院内の組織全体を見渡し業務の分担範囲を客観的・中立的に判断し、説得していかなければなりません。

この「客観的」が実に難しいところで、医療情報技師の腕が試される仕事だと思います。どの部署も別にサボりたいわけではなく日々激務をこなしているので、一見どの言い分もごもっともに聞こえます。かと言って「それなら仕方ないですね」と引き下がるわけにもいきませんので、落とし所を見い出してルール化の道筋を付けることが円滑な運用につながります。

 

医療情報技師の担う役割は、これからも医療の進歩とともに変わっていきます。医療現場のスタッフがその資格を持つようになれば、現場のITリテラシーが高まり、ただの「システム管理をする仕事」は淘汰されてしまいます。学会に参加するなど日ごろから医療情報の今を追い、自身のスキルをアップデートしていくことが欠かせないなと思う次第です。

 

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