去る6月5日~6日の2日間、茨城県・つくば市で開催予定だった「第24回日本医療情報学会春季学術大会」が初のWeb開催(アプリはZoomを使用)となりました。職場のお金で観光できる楽しみが消えたのは残念ですが、運営者の入念な準備を感じさせるスムーズな大会進行で、私自身初めてウェビナーを体験しましたがこんなに快適なものかと感心しました。時間になればPCの前に座るだけ。しかもスライドが目の前にあるので資料が読みやすく、声も聞き取りやすかったです。対面開催よりもむしろ快適、とすら言えると思いました。
また私のような北海道の田舎に住む者としては、移動距離・時間・費用すべてにおいて負担がかかってくるため、こうしたオンライン開催は非常に有り難い開催方式です。今後も、すべての学会とは言いませんのでこうした形での開催を検討してほしいと感じました。
ひとまずは、開催に関わったすべての方に感謝の意を表したいと思います。
現場での苦労はやはりみな同じ
数ある演題の中で、個人的に一番楽しませてもらったのが「現場での苦労を語ろう」のセッション。現場での悩みについて簡単なアンケートが用意されており、視聴者がその場で回答し集計結果をフィードバックしていました。
もっとも多かった悩みは「スキル」。どうやって医療情報技師としてのスキルを上達させていくか、ということでしょう。当ブログでも以前紹介しましたが(下記記事では医療情報技師を「病院内SE」として表現しています)、基本的に我々の仕事は誰かが指示するわけでも、評価するわけでもありません。「システムを安定稼働させ、問題が起きないように維持する」のみです。これから何を目標にし、何を勉強し、どうステップアップしていけばいいのかを自分で考えなければならず、将来像が見えにくいという悩みを持っているんだろうな、ということが実感できました。
マイナーな職業なだけに、孤軍奮闘している医療情報技師が全国各地に多くいるのでしょう。私もそんな一人です。だからこそ、こうした医療情報技師の学会が重要なわけですね。
医療情報技師に求められる役割は、システムの安定稼働のみならず、病院ごとにそれぞれのニーズがあります。診療情報管理士や医事と兼務している方もいれば、診療データを統計・分析し病院経営に関わる方もいます。「これだけをしていればよい」というものはないので、こうした学会で知見を広め、いざというときに勤務先から求められる役割を果たせるよう準備しておくことが大切なのかなと思います。
9割がコロナ禍の影響ありと回答
上述のアンケートで、視聴者のうち9割がコロナ禍により影響があった、と回答しました。例えば外来患者数の減少です。「病院に行くことがリスク」と捉えられ、来院しても処方のみといったケースが多かったようです。こうなると病院としては収益減になりますので、コロナは罹患リスクと経営圧迫のダブルパンチをもたらした格好です。
また、オンライン会議のニーズが増えた、タブレットを使ったオンライン面会を導入した、業者の出入りを制限した、といった声も挙がっていました。病院の業務は対面で行うものがほとんどですが、以前の記事でも触れたように、会議だけでも極力会わずに行おうという取り組みが進んでいるようです。
オンライン面会は、感染防止策のみならず遠方の家族が面会する手段としても有用だなと思います。今回のWeb開催で実感したことですが、目の前の画面に相手が映っていると意外と近さを感じられるものです。しょっちゅう行くのは難しいが様子は見たい、といったニーズは多いはずで、今後コロナが終わっても求められるかもしれませんね。
病院機能評価で医療情報技師の存在が評価対象に
また日ごろ医療情報技師が声高に言っていることが、資格の認知度向上です。病院関係者であっても知らない人も多いですし、存在感が高いとは言えません。しかし最近では少し状況が好転していて、例えば病院機能評価においては「医療情報技師がいることが望ましい」と論じています。受審時に医療情報技師の在籍人数を申告する必要があるようですね。これによって、存在意義がグンと増したのではないでしょうか。
電子カルテシステムがより複雑化・高度化し、病院とITが切り離せない関係にますます進むなか、医療情報技師が担う役割は大きくなっています。24時間365日止めてはいけないシステムですから、緊急時に速やかに対応できる技術者が欠かせません。アフターコロナの世界では、IT化が加速し我々の業務範囲も広がっていくことでしょう。多くの学びが得られた学会でした。
秋の開催はどうなるのでしょうか。コロナが落ち着いているのか、Web開催になるのか・・・Webならまた参加したいと思っています。
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