医療関係者であれば、最近チラホラ目にする機会が多くなってきたのではないでしょうか。改正食品衛生法が今月2020年6月に施行され、食品を加工・製造・調理する事業者にHACCP(ハサップ)の導入が義務付けられます。1年間の猶予期間を経て2021年6月に完全施行となります。院内SEとしても知っておいて損はないと思いますので触れておきます。
HACCPとは衛生管理の手法
HACCP(「サップ」と読むには母音が足りないじゃないか、というツッコミはさておき)とは、習慣や経験、抜き打ち検査などにより行っていた衛生管理に代わり、あらゆる生産工程にマニュアルを設け、適切な衛生管理が出来ているかを検証するまでの一連の衛生管理手法を指します。平成8年に起きたO157による食中毒事件をきっかけに国内における衛生管理のあり方が議論され、欧米で広がっていたHACCPの導入が法制化されました。HACCP自体は以前から確立されている手法なので、栄養課の職員であれば知っている用語かと思われます。
SEの自分にはサッパリだったので調べてみたところ、長崎県が作成した下記PDFがわかりやすかったのでご紹介しておきます。
給食施設等におけるHACCP導入の手引
https://www.yurokyo.or.jp/kakodata/system/medical/pdf/20160915_01_02.pdf
詳しい情報は厚労省のページをご参考に。
2020年6月から施行
最近にわかに見かけるようになった理由は、制度が施行開始になるからなんですね。1年後の2021年6月から完全施行となりますので、給食施設のある病院は導入に向けて動いていくことでしょう。
何が変わるか
HACCPでは、生産工程における食中毒等のリスクを排除するために、どんな点に注意して何をすべきなのかを細部までマニュアル化し、チェックリストや点検表を用いて適正な衛生管理がなされているか検証まで行います。具体的な作業としては、厨房における日業業務を洗い出してマニュアルに落とし込んだり、帳票を作ったりと文書作成がメインとなるでしょう。
電子カルテと直接関係はないので、特に部門システムの導入は必要なさそうですね。帳票類の作成が増えるので、支援が求められるかもしれません。
病院でも「標準化」が進む
業務を属人化させず、「誰がやっても同じ手順・同じ結果・同じ品質になる」ようにするために、病院でも業務の「標準化」が進んでいますね。私も普段のシステム障害対応で得られたノウハウをマニュアルに落とし、万一自分が休みのときも他の職員が対応できるようにしています。いちいちマニュアル化する作業は骨が折れますが、自分以外でも対応できる体制を整えることは結果的には自分のためになりますし(夜間や休日に呼び出されずに済む)、病院にとっても自分の不在時にスピーディーに対応できるメリットがあります。
確認作業ひとつとっても「何に着目して」「どういう確認のしかたをするのか」までを決めておかなければ、人によって精度にバラツキが出て、病院としての医療の質に影響が出ます。病院は技術職の集まりなのでどうしても業務が属人化しやすい傾向がありますが、標準化のメリットを周囲に理解してもらいながらぜひ進めていきたいものです。
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