一般的に、システムエンジニアと聞くと給与が高いイメージがあるのではないでしょうか。私もIT企業に勤めていた時はそうでしたが、激務ながらも残業代がしっかり付きそれなりの報酬が得られていました。仕事や上司に不満があっても働いた分に見合うだけの稼ぎが得られていたため、この報酬面が自分を会社に繋ぎ止めているような感じでした。
この記事を読んでくださっている方は、そんな仕事のミスマッチや激務に耐えかね、異業種である病院の仕事に興味を持っていることと思います。
そこで今回は誰もが気になる、病院のシステムエンジニアの待遇面についてお話します。
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病院のシステムエンジニアには2種類ある
まず知っていただきたいことが、病院のシステムエンジニアと呼ばれる仕事には2種類あるということです。それは病院に納めるシステムを開発するSE(以下、ベンダー)と、病院の職員としてシステム管理を担うSE(以下、病院内SE)です。この2つの職種は、業務も待遇もまるで違いますので混同しないようにしてください。
ベンダーの給与は
こちらはあくまでシステムを開発・納品するだけであり病院は納品先として扱うだけですので、他のIT企業と待遇は変わりません。ベンダーの社員が、病院に常駐しヘルプデスクや障害対応に当たるケースもありますが、病院に採用されるわけではありませんので、給与や福利厚生などは自社の規定に従うことになります。
病院内SEの給与は
病院内SEはどうかと言うと、病院の事務職として採用されることがほとんどです。正直に言うとIT企業のシステムエンジニアよりは低くなります。
事務職の給与の実際はどうかと言うと、病院が公立か民間か、都市部か地方か、病床数はいくらかなどにより千差万別です。目安として、その病院の医療事務や総務の求人の給与を参考にするとよいでしょう。おおむね、これらの職と同等かプラスアルファ程度に落ち着くはずです。
独立したシステム部門を設けているなどIT化の意識が高い病院では、医療情報技師や応用情報技術者などに資格手当を支給したり、専門職手当を出したりしているところもあります。
しかし病院においてエンジニアは事務の一部としてしか捉えられず、専門職としての扱いは受けにくい立場にあります。
昇進すれば給与も上がるはずだ、と思うかもしれません。しかし情報管理室という一部門では昇進にも天井があります。事務部門の一部ですから情報管理室を抜け、事務部長まで上り詰めることも不可能ではないでしょうが、そうなると業務内容が一変しSEとはかけ離れた仕事をすることになります。
私の周りにもエンジニアから病院内SEに転職した知り合いがいますが、やはり収入は下がったと言っています。それでも転職に踏み切った理由は、ワークライフバランスにあるとのことでした。
ワークライフバランスは良好
私もIT企業から転職して収入が下がりましたが、今の職場には満足できています。最大の理由がワークライフバランスです。
病院内SEの仕事はシステムの安定稼働ですので、トラブルがなければ残業はしません。電子カルテの更改(概ね7~10年に1度)など大掛かりな作業を行う時期は別として、普段は定時出勤・定時退社です。休日出勤もまずありません。これにより、家族と夕食を摂る時間や趣味に当てる時間がしっかり確保できています。
転職前では9時帰宅が標準だったので、まさしく生活サイクルが激変しました。
私の場合は北海道の田舎ということもあり、幸か不幸か娯楽があまりありません(笑)。消費する場が少ないため、趣味と言ってもジムやピクニック、ドライブなどお金の掛からない行楽が中心。そのため、収入が下がっても割り切ることができました。
キャリアアップの支援は
仕事のやりがいやキャリアアップについては後日別記事にしますが、キャリアアップにおいて切り離して考えられないのが費用面の支援です。これも病院によってまちまちですが、病院機能評価を受審しているところだと医療情報技師の在籍が評価されるため(詳しくは資格編の記事参照)、資格取得や維持に費用を助成してくれるところもあります。
医療情報技師の資格を維持するためには、学会やeラーニングなどへの参加で得られるポイントを5年間で通算50ポイント獲得する必要があります。それらには参加料が掛かりますし、学会は都市で行われることが多いので地方の方なら出張費用が発生します。1年間で1,2回は参加しないと50ポイントに到達しませんのでそれなりの出費となり、ここの助成があるかどうかは大きいですね。
病院機能評価の認定を受けている医療機関であれば、ホームページにロゴマークが掲載されているはずです。下記ページにあるロゴマークを見かけたら認定の証です。
あるいは日本地図から認定病院を検索することもできますので、興味があればぜひ探してみて下さい。
いかがでしたでしょうか。病院内SEの待遇面についてご紹介しました。
次回は、入職してからのキャリアアップについてお話します。
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